シニアが継続する理由「挫折させない」仕組みと自己肯定感

カーブスの風景 ビジネス切り口別
カーブスワークアウトの風景

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第104回

シニアの継続利用率が高いサービスには共通の特徴が見られます。それは「挫折させない」仕組みを持っていることです。

年を重ねていくと、若い頃と同じような目標を立てても、それを達成しづらくなっていきます。例えば、かつてのように運動をし、食事の量を減らしても、昔ほど体重が減らない、という具合です。

無理して運動や食事制限をしても目に見える成果が出ないと、やめてしまいます。すると、自分の能力が低下したと感じて自信を失い、やる気がなくなっていきます。

あえて「必ず100点が取れる」レベルから始める理由

このような、加齢に伴う挫折体験をさせないかがシニア向けサービスには重要です。例えば、非薬物認知症療法の学習療法では、重度の認知症の人でも必ず100点満点を取れるようにしています。

その人の現状の認知機能レベルを予め計測し、それを基に60種類以上ある教材から必ず満点を取れるものを選ぶのがミソです。

目標を達成できると達成感が湧きます。すると脳内に神経伝達物質ドーパミンの分泌が促され、「自分でもできた」という自己肯定感が湧き、さらに「やる気」が出てきます。

このようにして、挫折機会を減らし、やる気を生み出すループが形成される仕組みにすると、高齢者でも継続しやすくなります。

退会率2%を誇るカーブスの「段階的な目標設定」と「ご褒美」

30分フィットネスのカーブスでも、入会時からその人の身体レベルに合わせた目標設定を行っています。その結果、退会率は他社の10%程度なのに比べて2%程度と低いです。

重要なのは、目標達成時に何らかのご褒美を自身で用意してもらうことです。例えば、体重が5キロ減ったら、新しい洋服を買う、旅行に行くなどです。

ファーストネーム呼びと頻繁な声掛けが、心理的距離を縮める

また、カーブスではコーチが一人ひとりを「裕子さん」「多恵さん」のようにファーストネームで呼び、運動の途中にも頻繁に声掛けをします。これがメンバー(顧客)との心理的距離をぐっと近づけています。

しばらく来店しないとコーチが電話して声掛けをしますが、普段から良い関係性ができているので容易にフォローできるのです。

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この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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