認知機能トレーニングを継続させる3つの秘訣

脳の健康教室の風景 ビジネス切り口別
脳の健康教室の風景

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第55回

認知症予防を目的とした認知機能改善のためのトレーニングが色々なところで実施されています。しかし、一般に高齢になるにつれ、こうしたトレーニング継続への心理的障壁が高くなります。今回は私が関与した事例を取り上げ高齢者に継続してもらう秘訣をお話しします。

1.即時フィードバック

認知機能を改善する公文教育研究会の「学習療法」では、高齢者が学習した直後に「100点満点!よくできました」と褒めます。このように問題を解いたらすぐ答え合わせをすることを即時フィードバックといいます。

自分が行った行為に対して、正解なのか不正解なのか、結果を即時に伝えることで「正解であれば、嬉しい気持ち」を、「不正解であれば、悔しい気持ち」を伴うことができ、次の行動へのモチベーションが高まる効果があります。

任天堂の「脳を鍛える大人のDSトレーニング」のような一人で行う商品では、回答直後に川島教授のアバターが登場して、何らかの激励コメントをする仕組みになっています。

2.適切な目標設定

実現するかどうかはわかりませんが、実現したら嬉しい目標を設定して達成するとモチベーションが上がることがわかっています。

この場合、利用者の今の能力より「やや高い水準」に目標設定するのがコツです。達成できそうな目標水準だと継続しやすくなるのです。

実は学習療法の場合、認知症の方向けには必ず100点満点をとるように教材選定を工夫しています。たとえ認知症になっても100点満点がとれるという達成感を得てもらうためです。

3.同じ悩みを持つ人との交流

学習療法を健常者向けに行う「脳の健康教室」への参加者は、脳梗塞など何らかの理由で認知機能の衰えを体験した人が多いです。このため学習の合間に参加者どうしでの会話が弾む傾向があります。

似たような体験をもつ人どうしは親近感が湧くからです。認知機能のトレーニングによって不具合が解消した体験や達成感を共有しあえることも継続の理由になっています。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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