シニアビジネスを始めるのにどこから手を付けたらよいか

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高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第42回

「死筋商品」にこそ、次の事業機会がある

「シニア向けに新規事業を検討しているがどこから手を付けたらよいかわからない、アドバイスが欲しい」―――こういう相談を時々受けることがあります。

このような場合、すでに商品販売の実績があるならば「その商品がなぜ売れなかったのか」をよく調べるように指示します。

例えばコンビニはPOS(販売時点情報管理)システムの活用で、常に「売れ筋」「死に筋」をチェックしています。

これによって「売れ筋」商品は欠品させないように、「死に筋」商品は短期間で棚から外すようにして、常になるべく多くの「売れ筋」商品が棚を占めるように工夫しています。

POSを使うと、確かに「売れ筋」はわかります。しかし「死に筋」商品、つまり売れなかった商品が、なぜ売れなかったのかは教えてくれません。

実は、この売れなかった商品にこそ、次の事業機会が隠れていることが多いのです。

顧客からの不満の声をどう解釈するかが分かれ目

既存の商品やサービスで市場が飽和しているように見えても、実際にはそれらに満足していない顧客は必ず存在します。課題は、いかにしてこのような顧客の潜在的な「不満」に気がつくかです。

日々の営業活動やサービス提供の過程で得られる顧客からのクレーム、不満の声を、単なる顧客のわがままだと思うのか、それとも新しい事業機会だと思うのか。その解釈の仕方が、新しい市場をつくり出せるかどうかの分かれ目になるのです。

よく「アナログオーディオ市場は死んだ市場だから、もうビジネスチャンスはない」とか「フィットネス市場は飽和市場だから、いまさら参入しても成功は難しい」などと言われます。

しかし、本当は市場が飽和しているのではありません。私たちの既存市場に対するものの見方、考え方が頭の中で飽和しているだけなのです。

こうした、いわゆる先入観が私たちの自由な発想の妨げになります。だから事業機会を見つけたければ、こうした先入観の打破が必要です。

言い換えれば、事業機会はあなたの中に眠っているのです。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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