シニア向け通販 紙 OR ネット どちらがよい?

ビジネス切り口別

 

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第66回

時々シニアを対象とした通販会社から「シニアには紙とネットとどっちがよいのか」などと尋ねられます。私の答えは「ターゲットがどういう人で、何を売るのかで適したチャネルは異なる」です。

ゆこゆこネットではネットと紙媒体に加えて「電話での細やかな相談」が売り

「ゆこゆこネット」は国内最大級のシニア向けオンライン旅行代理店です。利用者の年齢層は70代が22%、60代が18%、80代以上が13%、50代が13%で圧倒的にシニア層が多い

シニアのネット普及率は年々上がっているものの、60代女性や70代以上では不得手な人も結構います。それでも利用者が多い理由は「電話で細やかな相談」ができることです。

最大250ブースで1日最大7200件対応するコールセンター
会員誌もネットより読みやすいとシニアには好まれる

年輩利用者にはネットでの検索閲覧はできても、部屋から大浴場までの階段数など宿泊施設の詳細状況を確認したい人やネットでの予約に不安を感じる人がまだ多いのです。

紙媒体の情報誌「ゆこゆこ」もシニア層には有用です。ある70代男性は「巻頭の特集のページからペラペラ見て、良さそうな宿をネットで調べる。宿を決めたら妻が電話する」とのことです。

こだわりの強い商品は丁寧な説明ができる手段がカギ

アパレル、食品、ホビー用品などを扱う「ライトアップショッピングクラブ」は、会員の7割以上が60歳以上。シニア対象の通販会社の会員は一般に女性の割合が多いですが、男女比がほぼ1対1で男性比率が高いのが特徴です。

オンライン店舗や実店舗もありますが、紙カタログを見た人が電話で注文してくる場合が圧倒的に多いとのこと。人気商品の一つにマックレガーのジャケットがあります。

購入した59歳の男性は「若い頃に着ていて、懐かしさを感じた。前のファスナーを上げてもチラリと赤いチェック柄が覗く点などシンプルだが、さりげない洒落たデザインが良い」と話しています。

50~60代男性に根強い人気のマックレガーのジャケット
限定モデルのオリジナルソーラー腕時計も人気

ここでは百貨店ではもはや扱わない、昔からの愛用品が買えることが魅力なのです。こだわりが強い客が多いため、紙カタログではよくわからない部分を電話で詳細に確認してから買う傾向が強いとのことです。

紙、ネットに加えて、電話の戦略的活用がシニア向け通販では重要ですね。

成功するシニアビジネスの教科書

 

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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