シニア顧客のリピーター獲得の秘訣とは?

目標を達成したら楽しいことが待っていることが重要 ビジネス切り口別
達成したら楽しいことが待っていると目標達成しやすい

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第43回

報酬系の活性化が元気や、やる気のもと

スポーツジムやダイエット商品等には、利用者が継続利用するものとそうでないものが見られます。商売の基本はリピーターをいかに増やすかですが、両者の差の原因をきちんと理解している事業者は案外少ないようです。

これを理解するのに有用なのが脳内の「報酬系(ほうしゅうけい)」という神経ネットワークの働きと消費行動の関係です。

私たちは何かを達成したときや誰かに褒められたとき、嬉しく感じたり、もっと頑張ろうという気持ちになります。こういうときに報酬系にドーパミンという神経伝達物質が放出されます。これが私たちに「元気」や「やる気」「ワクワク感」を感じさせるのです。

例えば不確実な嬉しい出来事を期待しているとき、ドーパミンが放出されやすいことがわかっています。宝くじを買い、当たるかどうかはわからないけど、当たった場合のことを考えてワクワクしているようなときです。

「目標設定型」商品が継続利用のカギ

この原理を前掲の商品に当てはめて「目標設定型」にすると継続利用を促すことができます。

以前ご紹介したカーブスでは利用者毎にいつまでに体重を何キロにする、ウエストを何センチ減らす、ひざの痛みをなくす、などの目標を具体的に設定し、利用者がその目標を達成できるよう様々な支援をしています。

この場合利用者の今の能力より「やや高い水準」に目標設定するのがカギです。これは高すぎても低すぎてもいけません。行動が継続しやすい目標設定が重要です。

もう一つは「達成したら嬉しい、ワクワクする」目標設定も重要です。先に挙げたカーブスでは、仮に体重を落としたら「どんな楽しいこと」をしたいのかも利用者ごとに確認しています。

例えば、旅行に行きたい、山登りがしたい、ホノルルマラソンに出たい、来年の同窓会で皆にやせたと言われたい、などです。
設定する目標が義務的なもので、達成しても楽しくない「ノルマ」だと逆にストレスを感じ、報酬系は活性化しません。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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