マスマーケットでないシニア市場にどう対処するか

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高齢者住宅新聞 介護保険に頼らないシニアビジネス成功さらなる12のヒント 第1回

シニア市場は「多様なミクロ市場の集合体」

99年10月に発売の「らくらくホン」は、05年頃までは順調に伸びていた。ところが、この頃、私は「らくらくホンがこのままではいいとは思っていない。今後、どのようなモデルを何機種作ったらよいだろうか。方向性を決めるための、根拠、考え方を整理するのに協力して欲しい」という相談を受けた。

多くの試行錯誤をした後、ようやく手がかりが見えた。

60歳以上を対象とした大規模なデータを「使いたい機能の数」と「月別通話料金」を切り口に整理したところ、市場全体が10種類ほどの小グループに分かれることが判明した。これが「シニア市場は多様なミクロ市場の集合体」ということの具体的な姿である。

さらに分析して、大きく「ローエンド」「ミドル」「ハイエンド」の3グループにまとめることができた。

ローエンドでは、使いたい機能は電話、メール、写真撮影の2~3個、月の通話料は2千~3千円。一方、ハイエンドでは、使いたい機能数は電話、メール、写真撮影、ネットでのサイト閲覧、ワンセグTV、電子マネーなど5~6個、月の通話料は5千~1万円というヘビーユーザー。

この2つの間にミドルがあり、使いたい機能は3~5個、通話料は3千~5千円程度だった。

シニア市場がいかに多様化しているか、担当者驚いた

この結果に、当時の担当者たちは驚いた。「シニア市場といっても、こんなに多様化している」ということに初めて気がついたからだ。

らくらくホン開発当初は、シニア向けの携帯電話が全くなかったので、大雑把な商品コンセプトしか立てていなかった。

主な訴求点は、「ボタンが大きく押しやすい」「文字が見やすい」「音声が聞きやすい」「握りやすい」というものだけ。

当時は、老眼、耳が遠くなる、握力が落ちる、といった加齢に伴う身体の衰えをカバーし、ユニバーサルデザインに基づいていれば「シニアにやさしい」商品になると考えていたからだ。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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