多くの人がニッチだと思っている事業分野は競合が少ない

カーブスの風景 ビジネス切り口別
カーブスワークアウトの風景

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第91回

皆が「やめておけ」と言う事業は実は狙い目

新規事業を始めようとする際、周りから「やめておけ」と言われることがよくあります。多くの人は未経験なことに不安を持つからです。特に既存事業で収益が上がっているうちは「何でいまそれをやるのか」と言われがちです。

ところが、大勢の人に「やめておけ」と言われる事業は狙い目なのです。なぜなら、競合が少ないからです。

女性専用フィットネス「カーブス」の創業者、ゲイリー・ヘブン氏は、「初めは、誰もがそんなニッチ分野はビジネスにならないと言ったよ。年配の女性はいろいろと要求がうるさくて、相手にするのが大変だってね」と語っていました。

父親からも「何度も失敗した女性専用フィットネスをまたやるなんて、お前は気でも狂ったのか」と言われました。しかし、ひるむことなく事業を進め、全世界で400万人が利用し、ギネスブックに掲載されるまでに大成功しました。

アメリカでも日本でも事業開始当初は同じ反応を受けたカーブス

2003年秋に私が雑誌で初めてカーブスを紹介した後、2005年2月にカーブスジャパンが設立され、同年7月に日本1号店がオープンしました。

ところが、当初は「面白そうだけど、日本で本当にうまく行くのか」「シャワーくらいないと清潔好きな日本女性には受けないのでは」「年寄りに筋トレなど効果があるのか」などの懐疑的な意見を何十回と言われました。

その後の結果はご存じの通り。会員数86万人、店舗数1984店(24年11月末日現在)、東証プライム市場上場の業界トップ企業になり、世界本部も買収しました。

システム化でカス業務をドル箱に変えた収納代行ビジネス

一方、コンビニエンスストアで公共料金などの支払いができる「収納代行」も似た例です。扱い金額が小さく、手間の割に利益が小さく、金融機関は「カス業務」と呼んで避けていました。

最初にセブン‐イレブンが手がけたときに、「ババを引いた」と言われました。しかし、年間の取扱高は、コンビニ業界全体で約10兆円(2020年度)に達しています。

収納代行はシニアの利用が多く、来店時の「ついで買い」も多いため、収益にも貢献しています。

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