シニア向け商品 ヒットの秘訣

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ラクレコ利用イメージ

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第54回

ターゲットも機能も絞り込め

私は2004年に上梓した拙著「シニアビジネス」「シニア市場とは多様性市場」と断言して以来、主張し続けてきました。

ところがこれを聞いて「多様なシニア向けには多様なサービスを用意することが必要」と思い込み、商品の売りがぼけてしまう例が後を絶ちません。

シニア市場では、むしろターゲット客も商品機能も絞り込んだ方がうまくいきます。最近の良い例がパソコン周辺機器メーカー、バッファローの「ラクレコ」です。

この商品はCDの楽曲を、パソコンを経由せずに直接スマホに取り込んで再生できるものです。

50代後半~60代の主婦はパソコンが苦手でCDを持っている

従来CDからスマホへの楽曲取り込みは、CDのデータを必ずパソコン経由でアプリ(iTunesなど)に取り込み、パソコンとスマホのデータを同期させる必要がありました。

パソコンを日常的に使う人には大した作業ではありませんが、パソコンを持っていない、あるいは操作が苦手の人にはハードルの高い作業でした。

こういう人は50代後半から60代の主婦に多いようです。これらの人はCDからスマホへの楽曲取り込みを子供に頼んでいますが、子供が忙しい場合は面倒臭がられ、思うようにいきません。

また、これらの人の若い頃の楽曲媒体はアナログレコードかCDです。デジタルが主流の現在、アナログレコードやCDは手間がかかるためスマホで聴く場合がほとんどです。

一方、費用のかかる音楽サブスクより、CDを借りてきてスマホに取り込む方が安上がりだと思う人も多いです。

さらに、音楽サブスクだと最新楽曲や未解禁アーティストの楽曲が聴けない場合が多い。YouTubeでは無料で聴けますが広告がうっとうしい、でも有料は嫌という人も多いです。

ラクレコとスマホとの接続はWi-Fiで可能のため、ケーブルが不要。スマホを充電しながら楽曲の取り込みもできます。

曲名などのアルバム情報や歌詞もネットから自動取得してくれ、従来手入力していた人には便利です。

ターゲット客を絞り込み、「不」の解消のための機能に絞り込むことで手頃な価格を実現したヒット商品の好例と言えます。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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