市民参加型テストベッドで健康増進手法を開発

スマート・エイジング・テストベッドの外観 ビジネス切り口別
スマート・エイジング・テストベッドの外観

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第53回

東北大学とカーブスが新たな研究開発開始

東北大学加齢医学研究所と女性専用フィットネス日本一の㈱カーブスジャパンは、サーキットトレーニングがスマートエイジングの4条件(認知・運動・栄養・社会性)に及ぼす影響を包括的に検証する共同研究を開始しました。

加齢医学研究所は、これまでカーブスジャパンとの共同研究で、①4週間のサーキットトレーニングが、高齢者の実行機能、エピソード記憶、処理速度など広範囲な認知機能を改善すること、②1回30分のサーキットトレーニングを実施したグループは、何もしないで30分待機していたグループと比較して認知力(抑制能力)とポジティブ気分(活力)が即時的に向上することを明らかにしてきました。

一方、サーキットトレーニングはこれまで女性を対象にしたものがほとんどでした。運動習慣を有する人は、男性(33.4%)の方が女性(25.1%)よりも多いにもかかわらず、男性は各種健康指標が低く、健康に対する意識が低いと言われています(令和元年「国民健康・栄養調査」)。

そこで本共同研究では女性に加えて男性も対象とし、無作為化比較試験と長期フォローアップ計測を行う計画です。

これにより、男女間の特徴を明らかにしたうえで、人生100年時代に求められる中高年が継続しやすい健康増進手法を開発し、一人ひとりの生活習慣の改善と健康づくりを促進します。

市民参加型共同研究の場「スマートエイジング・テストベッド」

今回の共同研究は仙台市の中心部にある東北大学片平キャンパスに新たに開設した「スマートエイジング・テストベッド」で実施します。

テストベッドの研究面での意義は①市民ニーズを迅速に反映した研究開発・商品化ができる、②若手研究者と年配者との交流が増えて研究の質が上がる、③学術的知見を迅速に反映したサービス提供ができることです。

一方、社会面での意義は、これまで大学と縁の薄かった市民がテストベッドを通じて研究活動へ関与でき、社会課題の解決に貢献しながら、自身もより健康になれることです。

テストベッドの企画・運営は筆者が役員を務める東北大学ナレッジキャスト株式会社が担当します。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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