平均年齢25歳の「シニアジョブ」が50代以上向け人材紹介で好評

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50歳以上中心の人材紹介「シニアジョブ」

 

2023年1月27日 日経MJ連載 納得!シニア消費

50代以上向け中心の人材紹介「シニアジョブ」

今回は人材紹介サービスの「シニアジョブ」を取り上げたい。50歳以上向けに就職や転職支援のサービスを手掛けている。

利用者は求人側の企業と求職側の個人となる。人材紹介の年齢割合は60代が42%、50代が35%、70代が15%、40代以下が8%で、92%を50歳以上が占めている。

このサービスの特徴は「シニア(この場合50歳以上)人材を中心にしている」ことだ。シニア求職者が若手求職者と競合しないように工夫して、求人と求職との円滑なマッチングを実現している。

シニアジョブで求人している自動車販売会社の経営者は「60代を採用することで20代も採用できる」との理由で、60代の自動車整備士を積極的に採用している。「新しい技術に対応する際にもベテランの経験と勘が若手に有用」と考えているからだ。

総合病院の事務責任者は「年齢は気にしない、経験が全て」と語る。医療事務の場合、長年の経験と培われたスキルのある人は細かな説明なしに即戦力になる。

シニアジョブの強みは「専門職中心」で人材紹介を行っていること

こうした例に挙げた通り、シニアジョブのマッチングの強みは「専門職中心」で人材紹介を行っていることだ。自動車整備や医療事務のほか、会計、不動産、工務店など「専門性が求められる職種」を得意としている。

こうした職種は求職側も求められるスキルがイメージしやすく、マッチングしやすいと言える。先に述べた総合病院の医療事務職に就いた小林浩さん(60歳、仮名)は「60代となり通勤距離を短縮したく、給与もある程度維持したかったが、どちらも満足できた」と語る。

シニアジョブでは正社員やフルタイムの求人が多く、転職による給与の落ち込みが少ないという。この点も求職者に魅力となる。

求人情報掲載時に「50歳以上の人材がほとんど」であることを明示し、その会社でのシニアの活躍状況を知らせている点も求職者にとって安心だ。

問い合わせから就職先決定までのスピードが速いことも強み

もう一つの強みは、問い合わせから就職先決定までのスピードが速いことにある。前職が建設会社で不動産会社に転職した田中俊也さん(仮名、63歳)は「他のサービスからは登録後に連絡がなかったが、シニアジョブは対応が早く、スムーズに転職できた」と語る。

これを支えているのが自社開発のIT(情報技術)システムと優秀なエンジニアだ。創業者の中島康恵社長がプログラマー出身で、自らプログラムや設計を行い、システム開発を指揮している。エンジニア採用時もスキル重視で選考し、優秀な人材を獲得している点も重要だ。

シニアビジネスはシニアのためだけでなく、若者のためにもなる好例

興味深いのは社員の平均年齢が25歳前後という若手集団がシニアの人材紹介を手掛けている点だろう。「若者ばかりの会社がシニア人材紹介などできるのか」と言われそうだが、好評を博している。

20代、30代の若者にとって、50代以上の年配者に文句を言われ、格闘しながらサービス提供する機会は、実は人間としての成長機会にもなる。シニアビジネスはシニアのためだけでなく、若者のためにもなることをこの会社は示している。

成功するシニアビジネスの教科書

 

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