新たに始めたことを三日坊主にせず「習慣行動化」する秘訣

毎日の血圧測定を習慣行動化する秘訣 ビジネス切り口別
毎日の血圧測定を習慣行動化する秘訣

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第78回

「目的行動」を繰り返すと「習慣行動」になる

私たちの行動には「目的行動」と「習慣行動」の2つの段階があります。

「目的行動」は、ある目的を達成するのに①それによる恩恵と、②それに要する手間・時間・費用・心的エネルギーなどに基づき「意識的」に価値判断して選択する行動です。

目的行動を繰り返すと、その価値は私たちの脳で学習され、記憶されていきます。学習された行動は、より発現しやすくなり、やがて「無意識的」に選択するようになります。これが「習慣行動」です。

私たちが必ずしも楽しいわけでない職場に毎日朝早く起きて出勤できるのはなぜでしょうか。理由は通勤という行動が「習慣行動化」しているからです。

したがって、新たに始めたこと(目的行動)を三日坊主で終わらせず「習慣行動化」するには、その行動を「繰り返して価値を脳に学習させる」ことが重要です。

習慣行動化のカギ:恩恵を最大化、手間・費用を最小化する方策を見つけること

ある目的行動を行うかどうかを決める際、私たちは冒頭に述べた①と②を天秤にかけます。①が大きく、②が小さいほど、その目的行動は繰り返し継続されやすくなります。

これを毎日の血圧測定を習慣行動化する場合を例に説明します。血圧測定は、腕にカフを巻く方式が計測値のばらつきが少ないのでお勧めですが、これを朝晩2回実施するには時間的余裕が必要です。そこで、どちらか一回にすれば②の手間・時間を半分に減らせます。

また紙に記録するより、計測器とスマホをブルートゥースで連携すれば②の手入力の手間が省けます。この方法だと一定期間での血圧の傾向がわかり安心感が増すため、①の価値が大きくなります。

さらに、脳卒中・心筋梗塞などを患った経験者や、家族に脳卒中・心筋梗塞の経験者がいる場合、①の価値がもっと上がります。血圧管理が病気のリスクを下げるからです。

習慣行動化のカギは、対象者にとっての①恩恵が最大化され、②手間・時間・費用などが最小化される方策を見つけ出すことと言えます。

この考え方は、シニアを対象とした会員制サービスの離脱率低下の方策としても応用が効きます。

タイトルとURLをコピーしました