ポケモンGOに見る「対コロナ適応力」

外出自粛中のポケモンGO バトル風景 ビジネス切り口別
外出自粛でほとんど人がいないが、スマホでは満員

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第40回

苦肉の策「リモートレイドパス」が業績回復に貢献

スマホゲーム「ポケモンGO」が登場して4年余りが過ぎました。多くのスマホゲームは登場後2か月で衰退すると言われているので、4年以上経過しても人気を維持しているのは驚異的です。その最大の理由は主なユーザーが50代、60代の中高年であることです。

実は本年1月頃からの新型コロナウイルス感染症の拡大で、このビジネスも例外なく大きな影響を受け、業績が悪化しました。

ところがその後商品コンセプトの変更も含む様々な工夫を施し、見事にV字回復を図っています。今回と次回に分けてその秘訣をお伝えします。

このゲームの魅力の一つは、街中の「ジム」に出現する「ボスポケモン」を複数のプレーヤーが一緒に倒す「レイドバトル」です。これをするには従来ジムのそばまで出向く必要がありました。

しかし、コロナ禍による外出自粛要請が2か月以上に渡り、他者との密接を避ける必要性が生じた。そこでジムのそばに出向かなくても参加できるように有料の「リモートレイドパス」を苦肉の策として導入したのです。

ポケモンGOの基本コンセプトは「街に出て冒険をしよう」でした。ところが、コロナ禍で実現困難になったため「街に出なくても冒険できる」にルールを変えたのです。これはこのゲーム始まって以来の大きな変更でした。

従来のビジネス慣習にとらわれない大胆なルール変更を考えるべき

ところが、これが大当たりしたのです。このパスを使うと自粛期間中に家の中からちょっと気晴らしにバトルに参加できました。また天気の悪い時にわざわざ外出せずにバトルに参加できます。この利便性が購入増加につながったのです。

前述の通り、ポケモンGOプレーヤーの多くは50代、60代の中高年です。外出自粛でこの年齢層が好む旅行にも行けず、お金を使う機会も減っていました。このため月数千円の出費に抵抗感が無くなっていたことも売上増の理由です。

コロナ禍で苦境に陥っている業種は、従来のビジネスのやり方にとらわれない大胆なルール変更を考えるべきです。そのことをポケモンGOは示しています。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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