グループインタビューで注意すべきことは何か?

シニアビジネス事例
おせち料理品評会は当事者意識が強まる

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第11回

潜在ニーズのようで、ほとんど参考にならない多数意見

新商品開発や商品の発売前にグループインタビューの形で市場調査をすることも多いようです。しかし、私はこうした手法で消費者の本音が引き出されるとはまったく思いません

その理由は、調査会社が選ぶグループインタビューの人たちは、必ずしも消費者あるいはターゲット顧客を代表する人たちではないからです。

また、別室から調査スタッフによりインタビューの様子をモニターされるうえ、謝礼を支払うので、インタビューへの参加者も、相手の耳に優しい発言を恣意的に行なったり、逆に、あまり強く感じていないネガティブ意見をポーズとしてわざと発言したりします。だから、本当の消費者としての意見にはなりにくいのです。

顧客の意見を聞く時も、できるだけ具体的に答えられるような質問を投げかけなくてはなりません。単に「これについてどう思いますか?」といった抽象的な質問を尋ね、それに対して参加者が思いつくまま、あれだ、これだ、と言った意見は、ほとんど参考になりません。

そうした意見には具体的なニーズではなく、「ニーズっぽいけれど、実際には参考にならない多数意見」があるだけです。

当事者意識をどれだけ高められるかがカギ

一方、読者参加型のおせち料理品評会のように、参加者が商品提供企業の企画スタッフの一部であるかのような雰囲気づくりをした時です。このやり方だと当事者意識がそこに芽生え、真剣に意見を言うからです。

おせち料理の品評会では、まず目の前に料理が並びます。それを見たり、食べたりしながら出す意見なので、出てくる意見は極めて具体的で参考になる情報となります。

総じてグループインタビューが効果を発揮するのは、食品であれば「おいしいか、まずいか」を聞く場合、他の商品であれば「買いたいか、買いたくないか」の白黒がはっきりした意見を聴取する時です。

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