時間の拘束からの解放がコト消費を生む

ビジネス切り口別

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第14回

50代以降に見られる「時間解放型消費」とは?

「時間解放型消費」とは、子育て終了や転勤、退職などをきっかけに時間の拘束から解放されて起こる消費形態です。

これには、昔やっていたことにもう一度取り組むことで自分らしさを取り戻そうとする「自己復活消費」、昔は経済的にも時間的にも実現できなかった夢を、今実現する「夢実現消費」があります。

自己復活消費とは?

「自己復活消費」の対象には、音楽バンド、社交ダンス、絵画、登山、写真など、学生時代や20歳代に注力していたものが大半です。

日常生活では倹約気味の人でも、ギターが好きでバンドに参加している人は50万円のギターを平気で買います。登山が好きな人は、プロ仕様の登山靴や登山用品に何十万円もお金をかけます。

夢実現消費とは?

一方、「夢実現消費」の対象は、高級オーディオ、スポーツカー、ラジコン、プラモデル、ダイビング、世界一周旅行など人によって様々です。最近ブームのドローンは幼い頃できなかったラジコンの夢実現です。

「時間解放型消費」が50代以降に多く見られる理由は?

こうした「時間解放型消費」は50代以降に多く見られます。なぜ、50代以降なのでしょうか。

まず、50代は20代、30代に比べて経済的に余裕ができます。一方、50代になると老眼など感覚器の衰えや脳機能の衰えで新しいことに取り組むのがおっくうになってきます。

すると、昔慣れ親しんだことの方が取り組みやすくなります。この点は前回触れたノスタルジー消費と共通点があります。

さらに、50代になると職場での役割や昇進の先行きが見えてきます。すると、仕事以外の時間の使い方を考えるようになります。

その際、自分の存在意義や大切にしている価値観を再確認しようとすれば「自己復活消費」として、人生の残り時間を意識すれば「夢実現消費」として表れます。

どちらもライフステージの変化を機に時間の拘束からの解放で生まれる消費です。時間消費であるコト消費を意識する小売業などは、こうした中高年の心理面の変化が生み出す需要に目を向けると、新たな事業機会になるでしょう。

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