独居の親6人に1人が「スマホリタイア」 家族で支える技術に注目

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高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第108回

スマホ所有拡大の陰で起きている「80代の脱落」

モバイル社会研究所が今年1月に実施した「2026年シニア調査」によれば、年代別のスマホ所有率が、60代95%、70代86%、80代前半69%に達しました。いずれの年代でも前年比1~3ポイントの上昇が見られ、シニアでもスマホ所有が多数派になっています。

一方、エイジテック・スタートアップのチカクによる今年8月の調査では、独居の親の6人に1人が事実上スマホを使いこなせなくなる「スマホリタイア」に直面していることが明らかになりました。

同調査によれば、スマホリタイアした人の過半数が、その時期を「80代」と回答。理由の上位は、物忘れが増えた(61.8%)、目や耳が衰えた(44.1%)、手元の操作が難しくなった(35.3%)となっています。

電話の声だけでは分からない…固定電話の「もどかしさ」と危険

シニアがスマホを使わない理由として、一般にIT機器の扱いが苦手なためと思われがちです。

しかし、同調査では、スマホを使っていた老親が加齢による認知機能や身体機能の衰えで使えなくなり、子どもと連絡が取りづらくなり、親子共に不安・不便を感じている場合があることがわかります。

スマホリタイアした人の多くは固定電話を使います。ところが、固定電話だと身体機能の衰えた親の様子がわからず、不便なことが多いようです。

映像がつなぐ安心 —— 早期発見と服薬確認で老親をサポート

これに対し、チカクがNTTドコモと提供している見守り機能付テレビ電話「ちかく」は、スマホの操作が難しくなった高齢者でも、簡単に家族と対話できるサービスです(写真)。

固定電話より優れた点は、電話での会話では見えない親の様子を動画で確認でき、不慮の事故を察知し、予防できる点です。

埼玉県の小林節子さん(仮名、57歳)は、「青森に住む母が、『腰が痛い、腰が痛い』と電話で言っていたが様子がわからないため、『ちかく』で母の歩き方を見ると、右足の着地がおかしいことに気がついた。病院に行かせると『脊柱管狭窄症』と診断され、入院した」とのことです。

さらに画面越しで親が朝晩服薬したかどうかを確認できるなど、離れて暮らす親の日常生活の細かなサポートができる点も好評です。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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