高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第85回
どうやって顧客の「不」を把握するのか
先日、企業経営者向けの講演で「不満・不安といった顧客の『不』の解消がビジネスチャンスになることはわかったが、そうした『不』をどうやって把握するのか」という質問を受けました。
一般に顧客は、一部のクレーマーを除いて、たとえその商品やサービスに不満があっても、自分の気持ちをなかなか表に出しません。相手に直接的に不満を伝える行為は、手間と心的エネルギーが必要で面倒だからです。
したがって商品提供側は、まず「自分が顧客だったら、自社の商品・サービスをどう感じるか」を想像することが重要です。
ところが、これが意外に難しい。人は、他人の目線より自分の目線で見てしまいがちだからです。
また若年層のスタッフがシニア顧客の気持ちを細やかに想像するのは一般に難しいでしょう。「シニアとはこうだ」などの一方的な思い込みをしがちです。
アンケートやインタビューは回答者の主観バイアスがかかりやすい
そこでアンケートやインタビューなどの調査が必要になります。こうした調査から得られる回答は「主観指標」と呼ばれます。
しかし、これらの指標には、①最後に見たもの・体験したものの印象を受けやすい、②調査主やインタビュアーの意に沿うような回答をしやすい、③不真面目や疲労などの影響でアンケートの信頼性が低下しやすい、など回答者の主観バイアスがかかりやすい欠点があります。
ニューロリサーチを核とした生体情報計測で主観バイアスを除外可能
これらの欠点を補うために「ニューロリサーチ」を核とした生体情報計測が有用です。
この計測では、脳血流量計測による脳活動、視線追跡、心拍変動などの「生体指標」や、アンケート回答時の反応時間や正答率などの「行動指標」が得られます。
生体指標は回答者の生理的な反応を数値化したものです。回答者自身はこれらの反応をコントロールできず、無意識による反応が情報に反映されます。行動指標にも回答者の無意識による反応が反映されます。
これらの指標を活用すると回答者の主観バイアスを除外できます。ただし、計測と解析に高度な専門性が必要です。脳科学が専門の東北大学発ベンチャーのNeU(ニュー)で対応可能です。
NeU ニューロマーケティング・感性評価