コロナ禍で「退職者の第三の場所」がなくなっている

カラオケルームで使用中の除菌・ウイルス不活化機器の様子 商品・サービス別
カラオケルームで使用中の除菌・ウイルス不活化機器の様子

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第48回

感染予防と経済活動の両立が大事

私はかつて拙著「シニアビジネス」「退職者のための第三の場所」という考え方を提唱しました。「退職後に毎日行くところがない」不満・不便の解消がビジネスになるからです。

その後社会の高齢化の進展で、若者向けだったカラオケにシニアが行くようになり、カラオケは「退職者のための第三の場所」の代表になりました。

ところがコロナ禍「カラオケはクラスター源」のイメージが強まり、行政による行動規制の対象とされ、シニア層はほとんど来店しなくなっています。

一方で長期の行動規制で国民の間にストレスが溜まっており、緊急事態宣言は形骸化しています。今必要なのは感染予防と経済活動の両立を可能とする具体的な対策です。

特殊紫外線ランプで空気感染リスクを低減

私が役員を務める東北大学ナレッジキャスト、カラオケ大手のコシダカオーク製作所は共同で特殊紫外線ランプを用いた「除菌・ウイルス不活化機器」を開発しました(写真)。

東北大学が大腸菌などを用いた実験で除菌・抗ウイルス性を確認済みで、顧客の利用後にカラオケルームで波長254nmの紫外線UV-Cを5~10分ほど照射することで室内の空気中の除菌・ウイルス不活性化を実施。これにより清掃スタッフと次の顧客への空気感染を防ぎ、クラスター発生の連鎖を断ち切ります。

本機器には人感センサーがついており、照射中に間違えて入室した場合は自動で停止します。軽量で扱いやすく小柄な女性スタッフでも容易に運搬・設置できます。

6月中旬からまねきねこ渋谷本店(東京・渋谷)などに数台配備しており、7月末までに100台導入後、全店舗への拡大を目指します。

本機器は、カラオケルーム以外に、高齢者施設、飲食店(レストラン、居酒屋等)、ホテル、公民館などの公共施設での新型コロナウイルス感染リスク低減策としても期待され、すでにいくつかの企業から問い合わせが来ています。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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