シニアに重要な「コト消費」の勘所は?

ビジネス切り口別
コト消費とモノ消費の組み合わせ:ラクーア

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第6回

消費者の「コト消費」機会を「モノ消費」機会につなげること

「モノ消費」とは、消費財などの「商品の消費」です。これに対して「コト消費」とは、モノ消費以外の目的による「時間の消費」です。消費者にとっては、消費する時間が自分にとって何らかの価値があるかどうかが重要です。

ところが、商品・サービス提供者にとって重要なのは、消費者の「コト消費」機会を「モノ消費」機会につなげることです。

これができないと、「コト消費」機会が単なるコストになり、事業が長続きしません。シニア向けの「コト消費」ビジネスにはこのパターンが非常に多いので注意が必要です。

モノ消費に結びつきやすいコト消費は「定住型」よりも「回遊型」

コト消費には「定住型」と「回遊型」の2つのタイプがあり、モノ消費に結びつきやすいのは、「定住型」よりも「回遊型」です。スーパー銭湯、東京ディズニーランド、ハウステンボス、国立新美術館などがこのタイプです。

スーパー銭湯の利用者は、まず風呂に入ります。風呂に入れば喉が渇くので、ビールなどを飲みます。するとつまみを食べたくなり、食べるとさらに飲みたくなります。腹が膨れると、休憩室で休憩したり、マッサージをしてもらったり、施設内の理髪店に行ったりします。

それが終わるとまた入浴する人もいます。時間に余裕のある人は、このサイクルを1日に2回くらい繰り返します。

「価値ある時間の提供」が生む消費の連鎖

私は、このようなビジネスモデルを「連結連鎖型」と呼んでいます。1つの消費をすると、それが次の消費を促す。これらを連結することで連鎖的に消費が発生し、モノ消費が生まれます。

ここで重要な点は、こうした連結連鎖が起きやすい理由に、コト消費のプロセスのなかに身体の新陳代謝が起きやすいプロセスが存在することです。

汗をかいて、エネルギーを消費すると、水や食料を補給したくなりモノ消費が生まれる。何のわざとらしさも嫌味もなく、お金が落ちるモデルなのです。

このようにコト消費ビジネスの勘所は、連結連鎖と新陳代謝にあることを覚えておきましょう。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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