中高年が子供時代に親しんだもののリバイバルを考える

ビジネス切り口別

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第24回

ノスタルジー商品は本格派で

キン肉マン「超人」という図鑑が売れています。出版社は学研プラス。「図鑑の学研」と少年漫画の金字塔「キン肉マン」が夢の友情タッグで実現、というのが売りです。出版社のコピーは次の通り。

『子どもの頃の自分にプレゼントしたい。あふれる知性と熱い友情に満ちた究極図鑑をご堪能あれ!「世界を知ること」の面白さを、図鑑で学んだ。「友情」「努力」の尊さを、キン肉マンが教えてくれた・・・。そんな少年・少女時代を過ごした全ての人に贈る懐かしさ全開の胸アツ図鑑が、この『学研の図鑑 キン肉マン「超人」』である。本書を開くその間は、ただ夢中だった「あの日」にもどれることを、読者諸兄にお約束する』

実はこれは以前取り上げた「ノスタルジー消費」を狙ったものです。

かつて学研は、大人向けの雑誌「大人の科学」というのを出しています。これは現在40歳代~60歳代の人が子供の頃に親しんだ「学研の科学」の大人向けリバイバルで、その年齢層に売れました。

「ピンホール式プラネタリウム」「電子ブロック」「簡易ソーラー発電」「紙フィルム式映写機」「USB特撮カメラ」などが付録になっています。「簡易ソーラー発電」などは「学研の科学」の時代にはなかった現代風な付録になっていますが、ちょっと豪華な付録つきの科学雑誌というコンセプトはそのままでした。

現代風のアレンジで楽しかった頃をリアルに再現するのがポイント

このように、子供の頃の商品を単純にそのまま再現するのではなく、現代風のアレンジを施したうえで、楽しかった頃のコンセプトをリアルに再現するのが「ノスタルジー消費」を促すポイントです。

一方、「大人の科学」は第1弾は大ヒットしたものの、第2弾、第3弾になるにつれ、販売に苦戦しました。これは、単に昔ヒットしたものをリバイバル商品にしたら売れるわけではないことを示唆しています。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」も、単なるクイーンのリバイバル映画であったなら、あれほどの大ヒットにはならなかったでしょう。目の肥えた中高年がリアリティを感じるキメの細かさ、よく練られた物語性など、手抜きのない本格派であることが重要なのです。

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