有望なシニア市場を見つける秘訣は何か?

ビジネス切り口別

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第7回

「高額でも満足できない商品」にチャンスあり

有望なシニア市場の一つは、需要側が変化しているのに、供給側が旧態依然としていて利用者の「不」が多い市場です。

この代表が補聴器市場です。補聴器はドイツやデンマークなどからの輸入品が多く、一台35万~50万円という高価格です。にもかかわらず、「雑音が多い」「フィッティング感が悪い」「頭痛がする」などの理由から、使用をやめてしまう人が結構多いのです。

一方、国産メーカーから一台数万円程度の安価なものも出ていますが、それほど売れていません。補聴器のような身体に着ける商品では、値段の安さは購買決定要因ではありません。

この商品の最大の問題点は、しばらく使ってみないと自分に合っているかがわからない点です。そのためには購入が必要ですが、価格が高過ぎます。

最近ようやくレンタル制度も導入されてきましたが、製品価格は下がっていないのでそれほど市場が拡大していません。

固定電話は潜在ヒット商品

携帯電話やスマホはどんどん機能を増やして進化していますが、その反面、固定電話機は進化がほとんど止まっています。

メーカーは、もはや固定電話の成長は見込めないと思もっているため、固定電話の開発・改良には注力しないのでしょう。

しかし、シニア層にはまだ固定電話派が多いことを忘れてはいけません。

例えば、携帯電話やスマホでは当たり前の電話帳を簡単に変換できる機能や相手の声がよく聞こえる機能を盛り込むだけで、容易に高付加価値化が図れ、ヒットは間違いなしだと思います。

アナログレコードが人気再燃で市場が復活

80年代にCDが登場してからアナログレコード市場をかつてのメーカー担当者は「死んだ市場」と呼んでいました。

しかし、近年のアナログレコードの人気再燃を受け、ソニー・ミュージック・エンタテインメントは自社生産を30年ぶりに復活しました。

供給者目線ではなく、利用者目線での商品価値の発掘があくまで有望市場のカギだと言えましょう。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授、シンクタンク・ソフィアバンク アソシエイツ、エイジング・アジア国際アドバイザー、シンガポール工科デザイン大学 国際アドバイザー。

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

2004年に世界最大の高齢者NPO AARPがロンドンで開催した国際会議に、唯一の日本人パネリストとして招聘されて以来、スイスでの世界エイジング・世代問題会議にチェアマンとして招聘、シンガポール政府主催SICEX2008の基調講演者に招聘されるなど多くの国際的な活動に取り組んでいる。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「GLOBAL AGEING INFLUENCERS」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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