エクスペリエンス・ビジネスとは

中目黒スターバックス・リザーブ・ロースタリー ビジネス切り口別
目黒川沿いのここではコーヒー一杯1200円から

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第47回

エクスペリエンス・エコノミーとは

顧客にとってのエクスペリエンス(経験や体験)が経済価値になるという観点で経済活動を捉える考え方を「エクスペリエンス・エコノミー」といいます。

エクスペリエンス・エコノミーにおいては、コモディティ、製品、サービス、エクスペリエンスの順に価値が上がります。

たとえば、コーヒー豆をバラ売りで売ると、コモディティとなり1杯分当たりの価格が1円にしかなりません。

それをパッケージ製品にして売ると1杯分当たり10円に、コーヒーにして売ると1杯当たり300円になります。さらに、それを高級ホテルのラウンジで提供すると1000円になる、という具合です。

つまり、元のコーヒーの材料は同じでも、ホテルニューオータニのラウンジで飲むと1000円の値段がつきます。そして注文する側も1000円を支払うことを許容しています。つまり、価値を認めているわけです。これがエクスペリエンス・エコノミーの意味です。

スターバックスに見るエクスペリエンス価値の上げ方

これに目をつけて成功した典型例がスターバックスです。同社は、もともと豆売りから事業を始め、次に立ち飲み店を始めました。それから「第3の場所」のコンセプトを知って、今のスタイルになりました。

その後、同社は、そこでコーヒーを飲む以外のエクスペリエンスができるという価値を加えました。例えば、無線LANが使えるサービスはスターバックスが始めたものです。また、その場で音楽CDが焼けるというサービスも一時期提供していました。

このように、その場のエクスペリエンス価値を上げれば、コーヒーの価格が多少割高でも、顧客は受け入れます。だから、スターバックスが一貫して試みているのは、どういうエクスペリエンスが顧客価値を上げるかです。

競争脱却の手段「エクスペリエンス・ビジネス」

現代はモノ余りの時代であり、すぐに競合商品が互いに真似しあい、似たような仕様になります。そして、商品差別化の猶予時間がどんどん短くなり、その結果、最終的には価格競争になり、体力勝負に陥ってしまいます。

こうした競争から脱却するための一つの手段が「エクスペリエンス・ビジネス」です。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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