なぜ、シニアビジネスの成功事例の真似をしても成功しないのか?

ビジネス切り口別
カーブス創業者のGary & Diane Heavin 夫妻

高齢者住宅新聞 連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第3回

シニアビジネスの成功事例を知りたいのですが、とよく尋ねられるが

成功事例のことを英語でBest Practiceと言います。私は日本企業だけでなく海外企業からも「シニアビジネスのBest Practiceが知りたい」と頻繁に尋ねられます。

多様性市場であるシニア市場ではヒット商品が出にくいため、事業成功の秘訣を手っ取り早く知りたいからです。

しかし、いくら成功事例の真似をしても成功しません。なぜなら、成功事例とは常に「個性的」だからです。

なぜ、成功事例とは常に「個性的」なのか?

本連載第1回で取り上げた「いきいき」が最盛期に43万人の購読者を集めた時、これを真似て「毎日が発見」「ゆうゆう」など多くの競合誌が出現しました。しかし、これらの部数がいきいきを超えることはありませんでした。

また、前回取り上げた「カーブス」の事業開始数年後に「Bライン」や「フィッツミー」など沢山の真似モデルが出現しました。

しかし、現在カーブスの店舗数が1,760店舗を超えたのに対して、真似モデルはせいぜい50~60店舗に過ぎません。

成功事例と呼ばれる事業モデルは、「その時点」の市場環境、時代の波、経営者の置かれた立場など多くの条件のなかで、考えに考え抜いた経営判断の結果です。

したがって、本当に真似するなら、これらの諸条件を全て同じにしなければなりません。しかし、それは不可能です。なぜなら、「その時点」から時間が経過し、多くの条件が変わっているからです。

他人の成功事例の真似ではなく、自分自身の失敗から学ぶこと

「敗れた軍隊はよく学ぶ」と言います。むしろ重要なのは他人の成功事例の真似ではなく、「失敗事例」、特に自分自身の失敗から学ぶことです。

ところが、これが難しい。なぜなら自分の失敗から学ぶのは、自分の恥部を直視するようなもので辛いからです。

私は失敗体験から学ぶ秘訣として、カーブス創業者のゲーリー・ヘブン氏がよく語っていた次の言葉を思い出します。

自分は全ての失敗を“不利”と思わずに、“教師”だと思うようにしている自分は女性向けフィットネスについて全ての失敗をした。そして、その失敗から多くのことを学んだ。だから、もう、成功するしか残っていないと思った

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