知縁型店舗×商品生態系がシニア消費を促す

ビジネス切り口別
知縁型店舗の例 ビバホームVC's埼玉大井店

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第30回

「知縁(ちえん)」型商品の魅力

以前、この連載で「知縁(ちえん)」型商品の話をしました。知縁とは「知的好奇心が結ぶ縁」という意味です。

知縁型商品の特徴は、知的好奇心の似た人どうしが集まることで売れやすくなる商品で、その代表としてクラブツーリズムのテーマ型旅行を挙げました。

カルチャーセンターや大人向け教養講座などへの参加者どうしのつながりも知縁といえます。

ところが、多くの場合は教室の授業が終わると、通常そこで関係は終了します。せいぜい、講師がやっている別な教室に通うというレベルです。

好きなもの同士が繋がった「知縁」が途絶えず

そこでせっかく生まれた知縁をその場限りのものにせず、そこから発展的に購買活動につなげようという動きがあり、スーパービバホームのヴィシーズやイオンカルチャークラブなどで見られます。

カルチャー教室を開催するだけでなく、併設のいろいろなショップで、その教室に関わる本、楽器、手芸用品、アクセサリー、ペットなどを販売しています。

好きなものどうしが集まって勉強し、さまざまな情報交換をすることで話が盛り上がります。その結果、「こんなことをしたい」「こんなものが欲しい」となると、その受け皿となる店が併設されているので購買に結びつきやすくなるのです。

消費の繋がり円滑に 受け皿用意が重要に

このように「受け皿がすぐそばにある」ことが、コト消費からモノ消費につながりやすいポイントです。カルチャー教室だけだと、その場では盛り上がっても、教室を離れてしまうとすぐに忘れてしまいます。

「鉄は熱いうちに打て」を具現化するためには、教室と各ショップが同じフロアのなるべく近い所にあることが重要です。

なぜなら、そのテーマに意識の高い人たちの知的好奇心が刺激され、商品がすぐ目の前にあるので購入したくなるからです。

知縁型店舗は、カルチャー教室や売り場全体が「商品生態系」を形作ることで「こんなものまであるのか」という気づきも生まれやすく、購買行動が促進されるのです。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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