高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第29回
小口化健康志向が進むコンビニやスーパー
前回に続き一人暮らし世帯の話。この世帯が求める価値のキーワードは「小型(小口)」「軽量」「健康」「安心」「手軽」「高品質」です。
小口化健康志向は、現在コンビニやスーパー各社が進めている商品戦略の柱です。セブン-イレブンの小口総菜「セブンプレミアム」がその代表です。
サバの味噌煮、ポテトサラダ、ひじきの煮物、けんちん汁などの総菜を、100~500円程度の価格帯で品揃えしています。
また、イオンの子会社の「オリジン弁当」、イオン葛西店などで見られる「一人用刺身」「小口デザート」なども一人暮らし世帯をターゲットとした商品です。
一人暮らしの年配者は、一人分を都度作るのが面倒なので、「手軽」に「美味しく」て「健康にいい」という価値で、多少値段が高くても買ってくれます。
売れる家電は“一人用”サイズ
家電メーカーのシニア対応商品開発は、2014年頃から増えてきました。タイガー魔法瓶は、土鍋コーティング、IH炊飯ジャーに新たに3合炊きをラインナップに加えました。
三菱電機も従来10合炊き、5.5合炊きで展開していた「本炭窯」「備長炭炭炊釜」「炭炊釜」シリーズに3.5合炊きを追加しました。
これらは全てお茶碗一杯分からご飯を炊ける一人用サイズですが、「炭窯で炊いた」「土鍋で炊いた」ような味わいのご飯を楽しめるという高品質が売れている理由です。
コーヒーメーカーも1杯ずつ抽出できるものが売れています。UCC上島珈琲「ドリップポッド」は、カップ一杯分でも本格的なドリップコーヒーを楽しめるというものです。ボタンを押すだけで、50秒でできあがる使い勝手の良さ、手間がかからず味は本格的なのがうけています。
掃除機では、サイクロン型が売れています。小さく、軽くて操作しやすく、高性能でゴミも捨てやすいのが、シニアの一人暮らし世帯の気持ちをつかんでいます。最近は中国メーカーから低価格のものが出ていますが、ダイソン、パナソニックなどが品質もよくお勧めです。