年金を満額もらう給料上限は?働き損を防ぐ2026年最新の在職老齢年金対策

年金支給停止基準額と計算式 国内動向
【2026年度最新】年金支給停止基準額と計算式

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第230回 

前回も述べた通り、老後の収入を増やす方法の一つは、働き続けることだ。だが、働き続けながら年金をもらう際、「給料」と「年金」の合計額が一定の基準額を超えると、年金の一部または全額が支給停止される「在職老齢年金」という制度があり、注意が必要だ。

本稿では、働き続けながらも年金を満額でもらえる給料上限額を知るための勘所を説明する。

在職老齢年金とは何か

在職老齢年金とは、60歳以降も会社などで厚生年金に加入しながら働く人が受け取る老齢厚生年金のことだ。

厚生労働省によれば、「働きながら年金を受給する高齢者について、一定額以上の報酬のある方は年金制度を支える側に回っていただくという考え方に基づき、年金の支給額を調整する仕組み」とのことだ。

2025年の年金制度改正法に基づき、本年4月より年金が支給停止になる基準額(給料と老齢厚生年金の合計)が月51万円から65万円に引き上げられた

平均寿命・健康寿命が延びる中で、働き続けることを希望する高齢者の活躍を後押しし、より働きやすい仕組みとすることが、今回の見直しの趣旨とのことだ。

年金支給停止の基準額

働いているからといって、必ず年金が減らされるわけではない。基準となるのは、次の1および2の合計額だ。

1.基本月額(老齢厚生年金の「報酬比例部分」の月額)

2.総報酬月額相当額(毎月の給料+直近1年間の賞与を12で割った額)

1の老齢厚生年金の「報酬比例部分」は、日本年金機構から送付される「ねんきん定期便」で確認できる。ねんきん定期便の「老齢厚生年金」の欄に(報酬比例部分)の年額が記載されているので、これを12で割った数値となる。

1および2の合計額が「基準額」を超えた場合、「超えた分の半額の年金」が支給停止になる。

基準額は、物価や賃金の変動に応じて年度毎に改定される。本年度(2026年4月以降)からは月額65万円となっている(表参照)。前年度までに比べ、大幅な引き上げとなっている。

支給停止にならない給料上限を知る

例えば、基本月額が13万円、総報酬月額相当額が57万円の人の場合、表に記載の計算式に従えば、支給停止額は(13万円+57万円-65万円)÷2=2.5万円となる。この場合、本来13万円もらえるはずの老齢厚生年金は、2.5万円が差し引かれ、10.5万円となる。

老齢基礎年金が月額5.8万円とすると、これは支給停止の対象外のため、実際の老齢年金支給額は、月額5.8万円+10.5万円=16.3万円となる。

以上より、月の収入は給料57万円+老齢年金16.3万円=73.3万円となる。本来もらえるはずの老齢厚生年金13万円満額もらうためには、26年度の場合、65万円-13万円=52万円が給料上限となる。

この要領にならって、ご自身で働きながら年金をもらう場合に年金を支給停止されない給料上限額を確認しておくとよい。働き続ける場合でも、せっかくもらえる年金を満額もらいたい人は多いはずだ。

注意点1:年金を「繰り下げて」いても対象になる

仮に在職老齢年金の基準(給料と年金の合計が月65万円)を超えており、本来なら「月5万円支給停止」になる働き方をしていた場合、年金受給を繰り下げていても、その「5万円分」には月0.7%の増額制度は適用されない。

支給停止を免れた「残りの金額」に対してのみ、増額率が加算されるルールのため注意が必要だ。これは厚生年金保険法 第44条の3 第4項で定められている。

注意点2:働き方によっては対象外になる

在職老齢年金の対象となるのは、あくまで「厚生年金に加入して」働く場合だ。このため、次の場合、年金は支給停止にならない。

  • 厚生年金に加入しない範囲(パート・アルバイトの短時間労働など)で働く
  • 個人事業主(フリーランス)として働く
  • 会社役員だが報酬ゼロ、または厚生年金の適用外である
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