インフレ加速! 年金プラスαを支えるのは、あなたの「好き」と「専門性」

年金プラスαを支えるのは、あなたの「好き」と「専門性」 国内動向

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第229回 

イラン情勢でますます加速するインフレ

連載第225回で今年の優先順位1位はインフレ対策だと述べた。その後のイラン情勢により、今年のインフレ率は、政府・日銀の目標2%を大きく超えそうだ。本格的なインフレ対策が必要と思う人も多いだろう。

老後の収入を増やす方法の一つは、勤労収入を増やす、つまり、働き続けることだ。問題は、65歳を過ぎてから希望する条件や環境で働き続けられるかどうかだ。

そこで重要になるのが以前お話しした「自分ミッション」を持つことだ。これは再掲になるが、会社のミッションではなく、自分は何のために生きるのか、何をやりたいのか、などの使命や行動指針のことをいう。

収入を得ることはもちろん重要だが、65歳を過ぎると自分がその仕事に納得できるかどうかがモチベーション維持のために重要となるからだ。

インフレでお金の価値が下がる今だからこそ、目減りしない『自分のスキルや情熱』に投資すべき

今回は「自分ミッション」の具体的な持ち方と深め方をお話したい。

目の前の業務を突き詰める――それが「一生の専門性」に化ける

「自分ミッション」はできれば現役のうちから準備しておきたい。現役ビジネスパーソンが、自分ミッションを持つ一番効率の良い方法は、職場での担当業務をとことん突き詰めることだ。

山本隆さん(仮名、72歳)は勤務していた石油化学会社で、30年以上設備の非破壊検査という専門性の高い仕事をしていた。

実は私は彼から何度か転職の相談を受けたことがあった。収入が必要なので仕事を続けていたが、その会社での処遇に必ずしも満足していなかったからだ。

しかし、彼はその仕事を通じて頻繁に海外出張したり、大学に国内留学したり、社外の専門家との交流機会が多いなど、様々なキャリアを積む機会があった。

こうした一般の人にはなかなかできないキャリアを通じて、彼はこれが「自分ミッション」であると気がついた。結局、彼は定年後もその専門性を活かした仕事をしている

このように会社の業務であっても、自分の気持ちの向くものであれば、突き詰めていけば「自分ミッション」になる可能性は大きい

損得勘定を捨て、「わくわく」を羅針盤にする

一方、会社でやってきた仕事はもうやりたくないという人も多いだろう。そういう場合は、改めて自分がやりたいことを「自分ミッション」にすればよい。趣味の楽器演奏をとことん突き詰めたければ、それでもよい。

川本明子さん(仮称、57歳)は、食品系の複数の大手企業に長年勤めてきたが、趣味で取り組んできた水彩画をライフワークにすると決めて、還暦を前に退職して本格的に活動を始めた。

大手企業で働き続ければ、安定した給料は得られるだろう。しかし、それよりも自分の好きな水彩画で表現することが自分ミッションになった彼女は、それに人生の残り時間を費やす選択をしたのだ。

いま自分の気持ちが向くもの、わくわくするものを、改めて洗い出してみるとよい。小さい頃好きだったものにも、ヒントがあるかもしれない。そして、それが後半生で突き詰めていきたいものか考えてみるとよいだろう。

重要なことは、現役のうちに社業に差しさわりのない範囲で、少しずつその準備を進めておくことだ。

アウトプットが使命を磨く 自分を表現する「道具」を持とう

一方、退職してから「自分ミッション」を探して見つけ出す人も大勢いる。安川徹さん(仮称、72歳)は典型的な会社人間。まさに「会社軸」で生きてきた人だった。

退職後、何をしようか迷っていた時に「ブログ」の立ち上げを助言した。それまでブログなど全くやったことのなかった安川さんは試行錯誤を繰り返し、若者を応援するブログを立ち上げた。

初めは少なかったアクセスも徐々に増え、多くの若者から「勉強になる」「励まされる」という声が届くようになった。

さらにこれがきっかけで、私立大学の非常勤講師を務めることになった。若者に時代を超えて大切なメッセージを届けることが自分ミッションになったのだ。

このように退職者にとっては、自分を表現するツールの習得が自分ミッションの深堀に役立つ

道具が意識を進化させるという言葉の通り、自分に合ったツールを見つけ出し、徹底的に使いこなすことで自分ミッションが見えてくるのだ。

インフレに怯えるのではなく、自分ミッションを見つけることで、経済的にも精神的にも豊かな後半生を切り拓こう

自分軸と自分ミッションの話はこちらのラジオ放送でも聴けます

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