高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第45回
成長が期待されるメンタルヘルス市場
コロナ渦でメンタルヘルスの改善支援市場が広がっています。米国ではCalm(カーム)社、HappifyHealth社などが、スマホのアプリを使った瞑想の指導やストレス軽減プログラムを提供しています。
カーム社は事業エリアを、日本を含む190カ国・地域にまで広げ、約1年で有料会員が400万人まで増えました。
米国では同分野への投資が昨年1兆円を突破したとのことです。コロナ渦で心的ストレスを抱える人が増えたことがこうした動きを加速させています。
一方、市場成長の期待感からベンチャーキャピタルなどからの投資は増えるものの、これらの瞑想アプリやプログラムで本当に利用者のメンタルヘルスが改善するかどうかは疑問です。
最大の問題は、上述のアプリで瞑想を行っているときに、果たして本当に瞑想状態になっているのかが確認できない点です。
脳活動状態を可視化できるかがカギ
東北大学発ベンチャーの㈱NeUが開発した「ストレスマネージャー」というアプリは、この問題を解決する製品です。このアプリを使うと瞑想している時の自分の脳の活動状態をタブレット等でモニターできるのです。
近年注目されている「マインドフルネス瞑想」がストレス軽減や自律神経機能改善などに効果があることが多くの研究によって確認されています。
実はマインドフルネス瞑想を行うと「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる脳のネットワークの活動が抑えられることがわかっています。
アプリでは超小型の脳センサーで脳の活動変化を計測してDMNの活動状態を評価します。この機能により、自分の行っている呼吸の仕方がDMN活動を抑制しているかどうかを確認しながら瞑想できます。
すると、これまで何となく感覚的に行っていた呼吸法や瞑想が、ストレス解消に効果的かどうかを確認しながら実践できるようになるのです。
コロナ渦で社会不安が増すなか、心的ストレスをためないで生活したいと思う人にお勧めです。