高齢になっても飽くなき知的刺激を求める人も少なくない。このような人は、従来の血縁、地縁、社縁とは無関係な「知縁(知的好奇心が結ぶ縁)」を求め、知縁の有無が終の住みか選びの大きな動機となる。したがって、大学など既存の教育機関の経営資源を活用し、知縁の場を居住コミュニティにつくることが、新たな事業機会となる。
たとえば、カレッジリンク型シニア住宅「ラッセル・ビレッジ」では、同じ敷地にあるラッセル・カレッジとの連携により、学習クラスをサービスの一環として行い、入居者がカレッジの施設を学生・職員と同様に利用できるようにし、カレッジの若い学生との交流機会を多数設けることで、施設開設と同時に定員210名が満席、140以上が入居待ちという大盛況になった。
人間の最高の知的娯楽は「学び」である。これを住まい方の中心に持ってくると数々のメリットが生まれる。ラッセル・ビレッジ入居者の平均年齢は84歳。寝たきりの人は一人もおらず、皆驚くほど元気でいきいきしている。カレッジの学生も年長者のアドバイスや話が役にたつと評判だ。ビレッジの噂を聞きつけて、入居希望者が増え続けている。
まさに孔子の言葉「子曰わく、学んで時に習う、亦説ばしからずや。有朋、遠きより方び来たる、亦楽しからずや」のとおりである。