高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第96回
運動習慣を継続すると外出意欲が高まる
スポーツジムなどで有酸素運動や筋力トレーニングを数か月継続すると、体に色々な変化が起きます。有酸素運動によって体中の脂肪が燃えるため、体重が減ります。
一方、筋力トレーニングによって筋肉が増え、その分体重も増えます。しかし、基礎代謝も増えるため、太りにくくなり、全体として体重が減っていきます。
こうして運動を継続する前よりも体のスタイルが良くなると、気持ちが明るくなり、行動意欲が湧きます。すると、新しい洋服を買ったり、友人と食事に行ったりなど、頻繁に外出するようになります。
外出意欲が高まると何かを買いたくなる
外出意欲が高まると、旅行にも行きたくなります。旅行に行くには、洋服に加えて、靴やカバン、化粧品やアクセサリーなども必要になりますので、それらも買います。
運動習慣によって気持ちが前向きになると、お洒落をして仲間と一緒にお出かけして、何かやりたいという気持ちが強くなるのです。
老人ホームで認知症を患っていた女性が、学習療法などの認知トレーニングによって、症状が改善して笑顔が出るようになったり、カラフルな服を着るようになったりするのもこれと似ています。
なぜ、このような変化が起きるのでしょうか。
意欲の中枢が活性化すると活動意欲が高まり、消費したくなる
私たちの大脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)の真ん中に「意欲」の中枢があります。NIRS(近赤外線分光装置)で計測すると、認知症の人に比べて健康な人では、意欲の中枢が活性化することがわかっています(写真)。
このように運動や認知トレーニングなどで意欲の中枢が活性化すると、活動意欲が高まり、消費したくなるのです。
病気になり、要介護状態になって医療や介護にお金を使うより、運動や認知トレーニングにお金使って、身体を元気にし、気持ちを前向きな気持ちにして、お洒落をして買い物や旅行に行く—。その方が、はるかに有意義なお金の使い方ではないでしょうか。
企業において自社の商材でいかにシニアが前向きな気持ちになるように後押しできるかが、シニアビジネス成功の勘所なのです。