2023年11月24日 日経MJ連載 納得!シニア消費
「えごま油」には、必須脂肪酸 オメガ3脂肪酸の一種、α-リノレン酸が多く含まれる
最近、スーパーの油売り場でよく目にするのが「アマニ油」「えごま油」の文字だ。これらの油には健康や美容によいとされるオメガ3脂肪酸の一種、α-リノレン酸という成分が多く含まれる。
オメガ3脂肪酸は、人間の体内で生成できない必須脂肪酸のため食事から摂る必要がある。その代表は、EPA(イコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、α-リノレン酸だ。
前者2つは魚(特にイワシやサバなどの青魚)に多く含まれる。後者は摂取すると体内でEPAに変換され、EPAはDHAに変換される。
今回取り上げる日清オイリオの「日清有機えごま油 フレッシュキープボトル」は、累計280万本出荷の人気商品。22年度購入者の90%が50歳以上、男女比は15対85で女性が多い。なぜ、中高年、特に女性に支持されているのか。
理由その1:魚以外から摂りにくいオメガ3脂肪酸が小さじ一杯で1日分摂れる点
千葉県の中山仁さん(仮名、73歳)は「魚をあまり食べないため、1日分のオメガ3を摂るのは難しい。手軽なので、えごま油を続けようと思っている」と話す。
EPA、DHAには、血中の中性脂肪低下、血管にできたプラーク(動脈硬化巣)安定化、炎症抑制などの作用があると報告され、脳卒中や心筋梗塞の予防に有用とされる。
要介護になる一番の原因が脳卒中のため、中高年の健康意識に合致すると言える。
理由その2:開封後酸化しにくく、油ダレしにくい容器で使いやすい点
埼玉県の佐藤静子さん(仮名、63歳)は「以前使っていたものは冷蔵庫で保存していた。この製品は冷蔵庫に入れる必要がなく、使い勝手も良い」と話す。
大阪府の鈴木信子さん(仮名、55歳)は「鮮度が長持ちするので、このパッケージのものを選んで買っている。有機というのも魅力的だ」と言う。
製品名のフレッシュキープボトルは、二重構造で開封後も酸化を防ぎ、必要な分だけ注げるようになっている。また酸化ブロック製法で容器内の酸素濃度を低減している。油は酸化すると臭みが出るなど有害なため、酸化を防ぎたい主婦の気持ちに寄り添っていると言えよう。
理由その3:クセのないさっぱりした味と香りでどんな料理にも使える点
東京都の松本玲子さん(仮名、71歳)は「以前は薬局で、えごま油を買っていたがツンとする臭いがあった。この製品はそういった臭いがなく飲みやすい」と話す。
製造工程の品質が悪いと製品に臭いが残ることがある。日清オイリオによれば、原料の栽培からボトルへの充填までの全ての製造工程で農水省の「有機日本農林規格(JAS)認証」を獲得し、有機栽培の原料を酸素に触れずに製品に仕上げている。
こうした工夫により、クセがなくさっぱりした風味となり、使い勝手を良くしている。
えごま油製品が注目される背景は、高齢化による健康意識の強まりと家族構成の変化
齢を重ねるにつれて同居家族が減ると、手間のかかる魚料理は敬遠されがちだ。イワシやサバの缶詰にはEPA、DHAが豊富に含まれているが、毎日食べるのは気が引けるかもしれない。
社会の高齢化による健康意識の強まりと家族構成の変化が、えごま油製品が注目される背景と言えよう。