若者が暮らしの手伝い 継続率90%超

20、30代の若者がシニアの相棒になり、暮らしを手伝う「もっとメイト」 商品・サービス別
20、30代の若者がシニアの相棒になり、暮らしを手伝う「もっとメイト」

2023年6月23日 日経MJ連載 納得!シニア消費

20、30代の若者がシニアの相棒になり、暮らしを手伝う「もっとメイト」

20、30代の若者がシニアの相棒になり、暮らしを豊かにする手伝いを行う「もっとメイト」というサービスが評判だ。手掛けるのはスタートアップのMIHARU(東京・渋谷)「パートナー」と呼ばれる若者がシニア顧客のリクエストに応じてサービスを提供する。

内容は、スマホの使い方やオンライン操作の仕方、買い物サポート、外出の付き添い、趣味のお供、書類作成など多岐に渡る。ただし、介護サービスは行わない。

料金は単発利用で1時間3500円。1回2時間の利用が標準。月額利用だとパートナーが専任となり、1回2時間の利用と電話での手厚いサポートで11,000円より。

加えて訪問費として1回800円、サービス場所が東京都外の場合は交通費2000円がかかる。一見、安くはない料金体系だが、月額利用継続率は90%を超えるという。シニアに好評な理由は何だろうか。

シニアに好評な理由1:“出来のいい孫”との交流が楽しいこと

理由の1つ目は、孫のような年齢層の若者との交流が楽しいこと。東京都の小山明子さん(仮名、76)は「同世代の人とは話せないテーマでディスカッションする時間はとても楽しい。若い人から聞く最新のテクノロジー情報は勉強になる」と言う。

デジタル関連の情報は一般にシニアは苦手だが、若者は得意なため、こうした交流は双方にとって有益だ。

埼玉県の鈴木隆さん(仮名、83)は「プリンタ購入のサポート、エアメールの手配など、幅広く手伝ってくれる。何でも相談できる“出来のいい孫”のような存在」と言う。

実際に孫がいる人でも、孫は仕事や家事で忙しく、なかなか気軽に相談できないものだ。家族に頼みにくいことも遠慮なく頼めて、丁寧に対応してくれるので助かる。

シニアに好評な理由2:ITの使い方をシニアにわかりやすく教えてくれること

理由の2つ目は、IT(情報技術)機器やサービスの使い方をシニアの立場でわかりやすく教えてくれること。神奈川県の寺岡清乃さん(仮名、85)は「タブレットの設定と使い方を丁寧に教えてくれて、今ではLINEも使いこなしている。操作に迷った時は電話をすれば、遠隔でも教えてくれる」と話す。

メーカーのコールセンターは電話がつながりにくく、つながっても担当者からIT用語で説明され、シニアにはついていけないことも多い。

もっとメイトでは、年配者の目線でわかりやすい説明ができるようにパートナー1人当たり40種の研修を行い、コミュニケーション能力を磨いている。

パートナーの質が顧客満足度に最も重要なため、人材採用時には厳しい評価基準で人柄やホスピタリティー能力をチェックする。採用率は17%と狭き門だが、「他人のためになりたい」という優秀な学生が数多くエントリーしてくるとのことだ。

若者が主体のシニアビジネスこそ、少子化対策として有用

もっとメイトでは、シニアは若者との交流により老後の孤独不安が解消され、前向きな気持ちになれるため、喜んで対価を支払う

この仕組みによって、シニアの資産が若者に移転され、若者は生活に必要な所得を得ることになる。

最近少子化対策の話が喧(かまびす)しいが、もっとメイトを眺めると、若者が主体のシニアビジネスこそ、税金のバラマキではない少子化対策として有用ではないかと改めて感じる。

成功するシニアビジネスの教科書

 

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