高齢期でも新たなことに取り組む人の共通点

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高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第63回 

60代は新たな挑戦のチャンス

私たちは一般に高齢になるにつれ新しいことに取り組むのがおっくうになります。一方で、高齢期でも新たなことに取り組み、活動的に過ごす人も目につくようになってきました。

81歳でiPhoneアプリ「hinadan」を開発し、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)から「世界最高齢のアプリ開発者」と紹介された若宮正子さんは87歳。日本最高齢のフィットネスインストラクターとして活躍中の瀧島未香さんは91歳です。

この二人には共通点があります。一つは、新しいことに取り組み始めたのが60代だという点です。

若宮さんがパソコンを始めたのは定年退職後です。人とおしゃべりをするのが好きな彼女は当時流行り始めていたパソコン通信を始めるためにパソコンを習ったといいます。

瀧島さんもスポーツジムに通い始めたのは65歳。70歳で水泳を始め、72歳でマスターズの水泳大会に出場し、クロールと平泳ぎで大会新記録を獲得しています。さらに74歳からフラダンスを始め、78歳からヒップホップも始めています。

「高齢者なのに」と注目を浴びる分野で活動する

もう一つは、二人とも「世界最高齢のプログラマー」「日本最高齢のフィットネスインストラクター」という「世界(日本)最高齢の○○」で注目を浴びている点です。

陸上競技などでは高齢になるにつれ参加者が限られるため、「70歳以上の部で世界記録」といった例が少なくありません。つまり、普通の高齢者ならまだ誰もやっていない「ニッチな分野」で活躍しているのです。

年金生活ができる高齢者にとっては多額の金銭報酬より、他人に認められたり、社会的注目を浴びたりする「心理的報酬」の方が、継続のモチベーションが上がりやすい傾向があります。

つまり、「高齢者なのにここまでやるのか」と思わせる活躍の場を見つけだすことが継続の大きな動機となっているのです。

定年退職を機に、自分がやりたいと思うことで、高齢だと注目される分野で一歩抜け出す活動を行うのが秘訣と言えます。

スマート・エイジング

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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