脳の健康の見える化「ブレインスイート」が中高年に人気

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ブレインスイート マイページの例

2024年1月26日 日経MJ連載 納得!シニア消費

月に100人を超える利用者の69%が50歳以上

脳で記憶をつかさどる海馬(かいば)の健康度を評価するサービス「ブレインスイート」が中高年に好評だ。東北大学発のスタートアップ、コグスマート(東京・千代田)が21年4月から始めた。

評価には、脳ドックの際に核磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影された頭部の画像が使われる。サービス提供拠点は全国に67か所あり、年内に140か所以上まで増えることが見込まれている。

利用者数は月に100人を超え、うち69%が50歳以上と中高年の割合が大きい。本サービスの何が中高年に受けているのか。

理由1:「海馬の萎縮度」を計測でき、脳の健康度を知らせてくれる点

理由の1つ目は、従来の脳ドックではわからないとされた「海馬の萎縮(いしゅく)度」を計測でき、脳の健康度を知らせてくれる点

大阪府の高見弘明さん(仮名、61歳)は、「高血圧から脳梗塞を発症したことがきっかけで脳ドックを定期的に受診していた。脳梗塞だけではなく、認知症発症を予防するための検査として役に立つ」と言う。

一般的な脳ドックは主に脳卒中や脳腫瘍・脳動脈瘤など血管の異常や腫瘍の発見を目的にした検査で、MRI画像から医師が目視で異常を発見する。

一方、ブレインスイートは独自開発の人工知能(AI)を組み込んだソフトで画像解析を行う。小指程度の大きさの海馬の、目視では不可能な数m㎥レベルの微細な変化を捉えることができる。

認知症の原因の50%以上を占めるアルツハイマー病では、記憶力などの認知機能低下の前段階に、脳の萎縮が起きることが知られている。特に海馬は生活習慣による影響を敏感に反映して、萎縮や増大が起きる脳内唯一の部位とされる。

海馬の体積を計測できれば、現状の萎縮度を評価できる。生活習慣の改善で海馬を増大できれば、将来の認知症発症リスクを下げられるという。

理由2:海馬の萎縮傾向を同性・同年代と比較して把握できる点

理由の2つ目は、萎縮傾向を同性・同年代と比較して把握できる点。神奈川県の鈴木良子さん(仮名、61歳)は、「親戚にアルツハイマー型認知症の人がいて、認知症や認知機能に関心があった。計測して同性・同年代と比べて異常ではないことがわかり、安心した」と言う。

ブレインスイートは、東北大学が保有する20代から80代までの健常者の約3,300例の頭部MRI画像を使用。これに約8年分(約400例)の同一被験者の縦断履歴を盛り込んだ「脳画像データベース」を用いて評価をしている。この膨大なデータと、利用者のデータとを比較し、結果を知らせる。

理由3:専門家による個別相談を受けられ、海馬の萎縮改善に有用な情報が得られる点

3つ目の理由は、専用のマイページを通じて、専門家による個別相談を受けられ、海馬の萎縮改善に有用な情報が得られる点

東京都の中島勇作さん(仮名、54歳)は、「自分は健康意識が高い方だと思っていたので、海馬の体積が同年代より小さいという結果はショックだったが、個別相談でのアドバイスが生活習慣を改善するきっかけになった」と言う。

脳の健康状態の「見える化」で将来の認知症の高齢者を減らす可能性

脳の萎縮は、喫煙、飲酒、運動不足、食生活の乱れなどの生活習慣の悪化やストレスが要因で起こるとされる。生活習慣の改善によって海馬に神経細胞が新しく生まれる「神経新生」が起き、体積が増大していくとされる。

国によれば認知症高齢者数は2025年に5人に1人、2060年には3人に1人と推計されている。脳の健康状態の「見える化」は、生活習慣の改善に取り組みやすくなり、将来の認知症の高齢者を減らすことにつながるかもしれない。

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