アーティスト・ファン・コミュニティを活用する

竹内まりや11年ぶりツアー ビジネス切り口別
70歳になった竹内まりや11年ぶりのライブツアー

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第93回

古希を迎えた竹内まりや そのファンも70歳プラスマイナス10歳程度

シンガーソングライターの竹内まりやによる11年ぶりのツアーが評判のようです。ツアーは全国各地域の収容人数15,000人程度の大きな会場で行いますが、軒並み満席とのことです。

1955年3月生まれの彼女は何と70歳になりましたが、若々しい外見と颯爽としたスタイルで、とてもその年齢には見えません。一方で、齢を重ねる毎に精神性の深まりを感じる曲を生み出し、心に響く歌声で人々を魅了し続けています。

竹内まりやが、古希を迎えたことに驚きますが、彼女のツアーに行く人たち「ファン・コミュニティ」の年齢層も高いようです。歌い手の年齢プラスマイナス10歳程度、つまり60歳から80歳程度の年齢層が多いとのことです。

節約志向のシニアも「竹内まりやの生歌を聴く」のに出費を惜しまない

ツアーの料金は一人15,000円(税込)なので、入場料収入は2億2,500万円程度。当日のDVDやCD、グッズ販売などを加えると、1回のツアーで2億5,000万円程度の売り上げとなります。

6月末までに14回行うので、ざっと35億円それなりの規模の「シニアビジネス」であることに改めて気が付きます。

昨今の物価高でシニアの節約生活のテレビ番組が目につくのと対照的ですが、これもシニア市場の一側面です。日々の生活は節約しても、「竹内まりやの生歌を聴く」という価値に対しては、出費を惜しまないのです。

スポンサーは商品の売込みではなく人生の応援が効果的

さて、企業がこうしたファン・コミュニティを事業に活かす方法は何でしょうか。最もわかりやすいのは、ツアーのスポンサーになり、自社製品のアピールや企業イメージの向上に役立てることです。

今回の場合、大和証券グループがメインスポンサーで、彼女の大ヒット曲「人生の扉」を使ったテレビCMも流しています。この曲の歌詞とイメージをうまく活用し、企業の商品の売込み臭さを消して、中高年層の人生を応援するという雰囲気を醸し出しています。

ツアー参加者の多くは、大和証券グループが老人ホーム、グッドタイムリビングの運営者であることを知らないと思われるので、よい情報伝達機会になることでしょう。

一方、彼女クラスになるとスポンサー料も莫大と思われ、大企業以外には難しそうです。スポンサーになる以外のファン・コミュニティの活用方法、中小企業でも可能な方法については、次回お話しします。

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