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脳の健康教室風景

高齢者住宅新聞連載 村田裕之の「シニアビジネス相談室」第27回

「必ず100点満点を取ってもらう」のが学習療法のカギ

顧客の多様化に対応するためには、個人のニーズに合わせたきめ細かなパーソナライズも必要です。それを上手く行っている例が、東北大学、公文教育研究会、高齢者施設が協力して作り上げた「学習療法」です。

これは、認知症の改善・予防のためのプログラムで、薬を使わず、紙の教材を用いた「音読、手書き、計算」などとコミュニケーションを中心としたものです。日本だけでなく、米国でも使用されています。

学習療法が認知症の人に対して改善効果が大きい理由の一つは、どんなレベルの認知症の人にでも「必ず100点満点を取ってもらう」ことにあります。そして即座にサポーターと呼ばれる支援者が「○○さん満点です!よくできましたね!」と学習者をほめることです。これが症状改善に効果的なのです。

ただし、学習者に100点満点を取ってもらうには、その人の認知能力レベルに合わせた適切な教材選びが不可欠です。この教材選びがパーソナライズです。

認知症改善にはその人のレベルに合わせた教材選びが不可欠

認知症と一口に言っても、認知機能のレベルは、その人によって異なります。このため、学習療法に取り組む前に、その人の認知機能を評価する検査を行います。

検査はMMSEという国際標準の認知機能検査とFAB(前頭葉機能検査)という、これも国際標準の検査を行います。

この2つの検査結果を横軸と縦軸に取り、その人の認知機能レベルを評価し、最適なレベルの教材を決定します。このため教材は実に60種類以上も用意されています。

こうした検査や実際の学習はサポーターが担当します。学習実施後、必ず反省会が開かれ、担当する人の学習結果、学習時の様子や反応、表情などを報告し合います。反省会によって、その人により適切な教材が選ばれ、次回はその教材で学習がなされます。

このプロセスを繰り返すことで、その人に最適にパーソナライズされた教材となり、それが学習療法の効果をより高めるのです。

この記事を書いた人
村田 裕之

村田アソシエイツ株式会社代表取締役、東北大学加齢医学研究所スマート・エイジングセンター特任教授

日本の中高年向け事業開発プロデューサー、起業家、社会学者。専門は中高年を対象とした事業開発と消費行動分析、日本と諸外国の高齢社会研究、スマート・エイジング論など。

1999年に日本で初めて「アクティブシニア市場」の重要性を指摘し、情報武装した高齢者「スマートシニア」の出現を予言した。2004年に「シニアビジネス」という言葉を初めて公に提唱し、女性専用フィットネス「カーブス」の日本への紹介、NTTドコモ「らくらくホン」の商品開発支援、関西大学とのカレッジリンク型シニア住宅の創成など、950以上の企業の事業開発に携わっている。日本におけるシニアビジネス分野の第一人者として知られている。

2006年に東北大学からの依頼でスマート・エイジングのコンセプトを提唱し、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。スマート・エイジング・カレッジを11年間主宰し、市民の健康リテラシーの向上とのべ406社との産学連携を推進してきた。

シンガポールに拠点を置く Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより2018年5月に「Global Ageing Influencers」に、2024年5月に「Super Ageing Japan Outstanding Entrepreneur(スーパー・エイジング・ジャパン卓越起業家)」に選ばれた。

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