シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第234回
現時点での財産にかかる相続税をチェックする

国税庁がネットで公開している「国税庁 相続税の申告要否判定コーナー」を使うと、被相続人(亡くなられた人)の財産を相続人(配偶者、子供など)が相続した場合の税申告の要否と、必要な場合の税額が計算できる。
本来は相続人向けのサービスだが、これを使うと将来の被相続人である自分の財産が、現時点で相続税の対象になるか否かと税額をチェックできる。
ネットで「国税庁 相続税の申告要否判定コーナー」と検索すると図1の画面が表示される。説明書きを読んだうえで、画面下の「判定を開始する」から、「新規に申告要否の判定を開始する」または「保存データを利用して判定を再開する」を選択する。
必要事項の入力がすべて終わると、相続税の申告要否画面が表示される(図2)。課税遺産総額がプラスの場合、「相続税の申告が必要」と表示される。
以降、画面指示にしたがって入力を行い、画面下の「次に進む」を選択すると次の画面になる。
本コーナーが特に有用と思われる点を次に挙げる。
1.相続税管轄の国税庁提供のため信頼度が高い
いくつかの金融機関が相続税シミュレーション等の名称で、類似のアプリを公開している。だが、それらの大半は内容が大雑把で、金融機関への相談を促すための道具になっているものが多い。これに対して、本コーナーは相続税管轄の国税庁が提供しており、信頼度が高い。
2.利用がきっかけで財産の現状把握が進む
本コーナーでは相続財産として土地等、建物、有価証券、現金・預貯金、生命保険金等・死亡退職金等、その他の財産、相続時精算課税適用財産を入力する。
正確な入力のためには、取引金融機関毎の資産状況を正確に把握する必要があり、財産の現状把握作業が自ずと進む。
3.自宅のある土地の評価額を自分で計算できる
本コーナーから国土交通省の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」が簡単に参照可能で、自宅の住所を入力すると最新年度の路線価等がわかる。この数値と土地面積を入力すれば評価額が計算できる。
4.自宅建物の評価額も自分で計算できる
自宅建物は固定資産税評価額により評価する。都税事務所や市区役所又は町村役場から通知される固定資産税の「納税通知書」付帯の「課税明細書」の数値の見方が解説されており、これに従い入力すると計算される。
土地と建物の評価額は、一昔前は税理士に有料で依頼しないとわからなかった。現在は本コーナーを使うと無料で計算できるので便利だ。
5.相続人毎の相続税額が概ね算出できる
計算結果は「相続税の申告要否検討表」として出力できる。またe-TAXを利用すれば税務署への申請もできる。金融機関や税理士等に手数料を払うことなく、計算・申請できるのは利用者本位と言えよう。
6.小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減適用の税額計算ができる
小規模宅地等(特定居住用宅地等)の特例とは、被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の事業用または居住用の宅地などがある場合、一定の要件を満たせば、相続税の課税価格を計算する際の評価額を最大80%減額できる特例だ。
また、配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者の課税価格が1億6,000万円までか、配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税がかからない特例だ。本コーナーでは、この2つの特例を適用した場合の税額も計算できる。
7.入力データは利用者のパソコンに保存できる
作業の途中または最後に入力データを利用者のパソコンに保存できる。また、前述の④「保存データを利用して判定を再開する」を選択すれば、保存済のデータが表示され、修正できる。本コーナーを使えば、必要な時に何度でもデータを修正し、再計算できるので便利だ。
一方、官製アプリにありがちな使い勝手の悪さもある。しかし、何度か使うと徐々に慣れてくるので、ぜひご自身で何度か使ってみることをお勧めする。

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