超高齢時代到来、シニア市場はこれからどうなる?

国内動向

福岡日経懇話会4月例会レポート

誤解が多いシニア市場

「2007年問題」というのがありました。皆さん、覚えていらっしゃいますか。ちょうど5年前、団塊世代の一番年長の方が60歳になると、一斉に定年退職されて世の中がひっくり返る、それが「2007年問題」と言われました。

ところが、あまり変化がなかった。なぜかというと多くの方がリタイしなかったから退職せずにそのままずっと仕事を続けて今に至っています。5年たって今度は65歳。今度こそ退職だということで、また注目されています。

とはいえ最近の傾向は、皆さんそれでもまだリタイしないで、何らかの形で仕事を続けたいという方が増えています。年配者があまり長く会社に居続けると、若い者の雇用はどうなるんだという話もあるのですが、私はむしろ逆だと思います。力のある方はどんどん仕事を続けて、新しいビジネスを作っていただいて、そして、若い人たちの雇用の受け皿も作ってもらう。そうすれば双方のメリットになます。

シニア市場単に「団塊世代」だけの市場ではありません。もう日本全体の高齢化が進んできて、いろいろなところで目に見えるようになってきた。また日本だけの市場ありません。

先週、私はシンガポールにおりました。中国、シンガポール、香港、台湾、タイ、マレーシア、インドあらゆる国・地域からビジネスマンが集まって、高齢化に伴う投資機会、ビジネスはどうなるのか議論して来ました。世の中全体高齢化を何とかビジネスチャンスにしたいという機運が高まってきたのが、今年かと思います。

まずシニア市場がどのような特徴をもつ市場かを整理したうえで、本題の話をしたいと思います。

1.シニア市場攻略のための市場の正しい見方

5つのパートに分けて話します。1つ目が「シニア市場攻略のための市場の正しい見方」です。企業経営者の皆さんには、結構、誤解されている方が多いです。今日はせっかくの機会ですので、皆さんの誤解を全部解いて東京に帰りたいと思います。

シニア市場というと、「金持ち時間持ち数が多い」と捉えられがちです。実際、世帯主の年齢別の「正味金融資産(ストック)で見ると、60代、70代が圧倒的に多くもっている。世帯主の「持ち家率」で見ても、60代、70代の数値が大きい。これが「シニアはお金持ちだ」と見なされる理由になっています。

今日お越しの皆さんは経営者の方が多いと伺っていますが、部長さんクラスでは、「上に言われているんだよ。シニア層は元気でさ金持ちで、時間もあって、人数も多いから、狙うのはもう若年層じゃなくてシニアだよ」という感じではないですか?。シニア市場を開拓しろということだと思いますが、実はそれほど単純なマーケットではありません。中途半端に取り組んでやけどをされている企業も結構多い。ここはしっかりと理解したうえ取り組んだほうがいいです。

何が誤解のかと言うと、先ほどストックが多いという話をしました。一方、これは世帯あたりの一月の消費支出です。40代、50代がピークで、60代、70代になると減ってきます。この消費の傾向には何が影響しているかというと、実は、所得(フロー)です。所得では50代がピークで、60代、70代になると減ってきます。なぜなら、ほとんどの方は退職すると年金が収入源だからです。じゃあ、ストックは一体どこへ行っているのか。ほとんどの方が貯め込んでいます。ですから、1つは、フローの中からいかに御社の商品サービスにお金を使ってもらうか。もう1つは、貯め込んでいるストックをいかに取り崩していただくかこの2つを考えないといけません。

 定年後の変化が支出を生む

まず、「シニアの日常消費は所得フローベース」だと認識していただきたい。正味金融資産が多いから日常消費が多いわけではありません。消費支出グラフ見ますと、増えていくもの、減っていくもの、変わらないのがあります。どの年齢層も一番割合が多いのは「食費」です。50代は世帯あたり月6万5,365円。60代が6万1,564円。70代が4万9,198円。しかし、年齢とともにのようにに減ってきます。

減っているものは、食費のほか教育・娯楽費が減ります。もう子どもの教育は必要ない。それから被服・履物服と靴が減ります。男性の方はお分かりですね。リタイヤしたら、スーツとか要りませんものね。今、百貨店が年配の方向けに売り場の改装を結構やっているのですが、こういう変化の解釈を間違うと、売り場改装で何十億もかけたのにさっぱり売り上げが上がらないということが起きてしまいます。

増えているものは保険・医療費。やはり、健康管理・健康維持のための出費が増えます。金額が変わらないもの住居費・光熱水道費家具・家事用品です。ほとんどの方が同じ家に住からです。

このように50代、60代、70代では消費の仕方が異なります。今日の会場は何となく50代以上の方が多いので、そんなの分かってるよという感じです、30代、40代の方はこれが分かりません。「シニアマーケット50歳以上」と定義する例がよく聞かれます。ある企業は55歳以上だったりしますが、そういうくくり方をすると間違います。何歳以上とかいう大ざっぱなくくり方はやめましょう。なぜならば、シニアに限ら、物やサービスを買うきっかけは、状態の変化だからです。何かの状態が変わると消費需要が発生するのです

特に大事なのは次の変化です。1つ目が「加齢による体の変化」。私たちは年を取ると体が変化しますね。それで需要が発生します。たとえば、老眼鏡。老眼40代から出てきます。

ただし、変化の度合いは年齢や立場によって微妙に異なります。50代女性と60代女性に「最近、体調や体形の変化で気になることはありませんか」と質問すると、両方とも半分が「体力の衰え」が一番と答えますが、50代は「お肌の衰え」そして「更年期障害」が気になるというんです。

ところが、60代女性は「関節が痛い」というのが上位に挙がります。同じように「美容や体型維持のために定期的にしていることはありますか」と聞くと、50代で一番多いのは「サプリメント」。一方、60代はジムに行ったり、ランニングしたり「運動」です。50代はまだ仕事で忙しいのに対して、60代は仕事をする人の割合がガタっと減。消費行動に差が出るわけです。

2つめの重要な変化は「本人のライフステージの変化」です。男性で一番大きいのは退職です。退職をきっかけに、皆さん何をやるか。これは電通の調査ですが、一番多いのが「夫婦での旅行」です。もうこれは定番で、退職したら半分くらいの方は旅行に行きます。二番目に多いのは「パソコンの購入」。データが2005年10月ですので、最近では皆さんパソコンはお持ちですので、「iPad買うかな」「スマホ買うかな」という感じですか。

それから「株やファンドの購入」「保険の見直し」「車の買い換え」「家のリフォーム」と、このあたりが上位に来ます。みんな高額商品です。こうした商品は退職した瞬間ある程度売れます。ただ、ずっと売れるわけではない。ですから、ターゲットとする顧客がどのタイミングで退職する重要なわけです。

これ2010年のパック旅行の年間支出です。一番多いのはやはり60代です。国内旅行、海外旅行とも多い。次に多いのがなんと70代ですね。旅行の場合は退職した瞬間にドーンと行って、それから後も、折に触れて何度も行くというパターンです。

昨年、年配者によく売れた車は、軽自動車もそうですが、ハイブリッド車です。ハイブリッド車がなぜ売れたと思いますか。ガソリンがかからないから?その通りです震災が起きて計画停電で省エネだといって、それで買っていると思うかも知れませんが、実は省エネの本質は「省マネー」です。

ダウンサイジングつまり、退職して生活スタイルが変わるので、ガソリン消費の少ない車が求められるのです。子どもももう独立しているからサイズは小さくていい。こういうダウンサイジング消費が退職後3カ月~半年くらい、結構見られます。ここも狙い目です。

 「吹っ切れ」消費

3つめに「家族のライフステージの変化」です。本人だけじゃなくて家族のライフステージが変わると消費が発生します。例えば、ご主人と奥さんの関係で「夫は現役で働いていますか」と女性に聞くと、50代では73.8%がまだ現役。ところが60代になると17.9%しかおらず、55%は無職です。50代と60代では、ご主人の状態が全然違います。

そうすると、例えば「第二の人生を考える時に、住まいはどこにしたいですか」と聞くと、50代は半分が「今のままでいい」と言っていますが、残りの半分は「親のそばに引っ越す」「都心のマンションに引っ越す「リゾートや田舎に引っ越す」うんぬんと言います。あと28.7%「わからない」。つまり、期待幻想半分、そして「わからない」が半分なのです。50代はまだ、ご主人今後一体どうなるかわからない。また、両親が要介護状態ですとさらに確定要素になります。

ところが60代になると、もう75.3%が「このままでいい」と答えますなぜなら、多くの場合、ご主人が退職して行先が落ち着き、両親も片付いているから。これによっていわば、吹っ切れて腰が据わります。それで、家族の世話もうあまり考えずに、残り時間を楽しもうというふうに思考が働くわけです。私はこれを「吹っ切れ消費」と呼んでいます。

結局、シニアの消費は年齢では決まりません。シニア特有の「変化」で決まります。消費というのは表向きの現象で、その裏側にどういう変化があるのかを理解することが重要です。体の変化か、家族構成の変化か、ライフステージの変化なのかこれをよく整理して、タイミングよく提供することが必要です。

それともう1つ。年配層の消費行動は若年層に比べると非常に多様、バラバラになります。団塊世代は人数も多いです、みなが同じ物を買うわけじゃないですね。消費されるものは、ばらけます。これはもう10年前からそう言っていますが、シニア市場はマス・マーケットではなく「多様なミクロ市場の集合体」です。新しい小さなマーケットがいっぱいできているどうもそういう感じです。従ってマス・マーケティングやりにくくなっています

ただ、誤解ないように補足すると、マスメディアの威力が全然ないということではありません。日経さんで話しているからではなく、マスメディアの使い方が変わってきます。従来みたいに、ワーっと大きな広告を出したらばんばん売れるわけではない。最近の50代向けの化粧品の広告の打ち方を見ても、今は昔と全然違いますね。シニア市場は「年齢」ではなく、新たな「価値観」でくくられる市場と理解してくださいその新しい価値観何なのか、これを見つけ出すことが大事です。

さらに、現代という時代の特徴が消費行動を多様化します。1つの理由は経済の成熟化、モノ余りです。最近、デパートに行っても買うモノがない」と言う年配の方が多いです。もうあれももっている、これももっている。やっぱり、モノが豊富だからです。選択肢が多いので、必要に応じて安いモノから高いモノまで、いろんなモノ選べます。足りないモノはさらに市場に要求できます。そうすると、市場の商品はますます多様化するという、いたちごっこが起きています

もう1つ考えないといけないのが、インターネット利用率の変化です年齢層別のインターネット利用率が過去10年でどれだけ変わったか私は1999年に東京、大阪、名古屋で50歳以上の方のインターネット利用率調べたことがあります。何パーセントぐらいだったと思いますかたったの3%でした。たかだか13年前すよ。それが今はもう9割近い。あと10年たったら、今の50代が60代になるわけです。そうなった時に何が起こるか?今いろんな企業が研究されています。それによって、今までになかった全く新しい流通チャネルができるわけです。

IT機器が普及しますと、市場の情報化がどんどん進んでいく。つまり、マーケットがガラス張りになります。ネットで見れば、ほとんどのモノが、どこでいくらで売られているか、分かってしまいます。ごまかしの利かないマーケットの側面がますます強まるのです

賢いシニア消費者「スマートシニア」が増えていく

ごまかしが利かなくなった業界の代表は、有料老人ホームです。7年くらい前、ある高級老人ホームの会社が日経新聞に全面広告を出し、高級ホテルに600名を集めて昼食付きの無料説明会を開きました。「第1部日野原先生講演」「第2部オーケストラ演奏」「第3部ビデオによるご説明」といった具合ですすすと、参加者のかなりの数の「ぜひここに入りたい」という意向を示し実際に大勢入居しました。当時、その老人ホームの入居一時金は平均5000万円程度でした

ところが、今はどうなったか。残念ながら、日経新聞に1面広告出しても、客は集まりますけど、なかなか買いません。今や、入居一時金が1000万でも高いと言われます。恐らく九州はもっと安くないと売れないでしょう。最近は入居一時金ゼロという所もあります。

なぜか。お客さんがみんな賢くなったからです。私が知っているある方は、老人ホームのカタログをコレクションしていました。2年半で50くらいの体験入居したそうです。体験入居ばかりで、入居はしないんです。将来に備えているんですね。それだけみんな、情報武装して、賢くなっちゃった。この流れはもう止められません。

私は、今から13年前にこういうシニアの方を「スマートシニア」と呼びました。「スマートシニアが増えていくと、提供側はいろいろ工夫をしないといけないから大変だ」という話をしましたが、結局それで「買い手市場」になってしまったです。この結果、売り手の論理が通用しにくくなってきています。製造業で言えば、従来のように大量生産して、大量に流通すれば売れるという時代ではない。常に買い手のほうを見る。買い手の変化を見て、何が必要、刻々変わるニーズに対応しないといけない。

その次、シニア市場は「女性が主導する市場」になります。皆さんもよくひょうたん形の人口動態の棒グラフを見ますよね。このグラフは、男女の数値を重ねたものです。男が青、女が赤で、横軸は年齢です。この出っ張っているところが団塊世代です。2010年には団塊世代が全部60歳を超えています。しかし注目していただきたいのは、それよりも上の世代では全部、赤のほうが青よりも飛び出ている点です。団塊世代よりも上は、女性の数が多いです。

ざっくり言うと、男女比が70代で1:2、80代で1:3になります。老人ホームに行かれますと、出来たての所はそれでも女性:男性が6:4くらいでしょうが、5年もたちますと大体8:2くらいになります。だから男性の皆さん、老人ホームに行ったらもてるかもただし、女性は目が肥えているので、男だったら誰でももてるわけではありません。男を磨かないといけませんね。

ただし、シニア市場女性主導市場というのは、けっして男性のことを忘れているという意味ではありません。女性のほうが数が多いので女性に受け入れられることを考えていったほうがいいということす。

それから男性の消費行動は女性の消費行動から結構影響を受けるということです。うなずいていらっしゃる方はお分かりですね。特に、退職すると影響受けますよ。家の中にずっといたら煙たがられます。「頼むから、昼飯だけは外で食べてください」って小遣い渡されますからね。男性は居場所探しが結構重要な仕事になります。こうやって日経さんがセミナーをやってくださると、本当にもう最適の居場所です。OB向けの日経懇話会を作ったら間違いなく受けますね(笑)

ということで、パート1の「シニア市場の正しい見方」をまとめますと、まず「ストック・リッチ、フロー・プア」ということ資産は多いが、フローの所得は少ない。それから、多様なミクロ市場の集合体であること、買手市場、女性主導市場ということ。「年齢」ではなくて、新たな「価値観」でくくられる市場だということです。では、どういう価値観があるのという話を、次にしたいと思います。

2.フロー消費を確実にすくい上げるために何が必要か?

パート2として、「フロー消費を確実にすくい上げるために何が必要か?」というお話をします。シニアの不安トップ3というのがあります。1番目が健康不安、2番目が経済不安、3番目が孤独不安です。3番目は、生きがいが欲しいという言い方でもいいと思います。この3つの不安が、どの調査も必ずトップに挙がります。これは総理府が以前ったものですが、「自分や配偶者の体が虚弱になる病気が気になる」とか、「自分や配偶者が寝たきりや認知症になり、介護が必要になってくるようなことが心配だ」というのが上位に挙がっています。

介護や支援が必要になる原因のトップが脳血管性疾患いわゆる脳卒中です。脳卒中というのは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血と3つあります。高齢は圧倒的に脳梗塞が多いです。そして原因の2番目が認知症です。次に多いのは、関節疾患と骨折・転倒といった、いわゆる運動器障害と呼ばれるものです。つまり、脳と体の2つが悪くなると、介護が必要になります。

逆に、ここさえきちんとメンテナンスできれば、要介護や支援はある程度は防げるということですね。では、なぜこの年齢層は骨折・転倒が多いのか。たとえば、30代を過ぎると、普通に生活をしているだけでは筋肉量が減ってきます。60代になると6割70代になると半分になるというデータあります。しかも、下半身のほうが落ちやすい。かつ男性よりも女性のほうが落ちやすい。

女性の皆さんは、年を取っていくと脚が細くなっていく。細くなったらいいじゃないと思うかも知れませんが実は大変です。高齢の女性一番多いのは、転倒骨折です。一方、男性は脳梗塞が多い。従って、これを防がないといけないのですが、ほとんどの方が自分の身体がどんなに変化しているかご存じない。普通に生活しているだけだと、私たち私たちの体はどんどん、なまっていき、筋肉衰えていきます

女性専用フィットネス「カーブス」

そこで、1つビジネスの事例を紹介します。「カーブス」というの女性専用のフィットネスクラブのチェーンがあって、全世界で400万人以上が使っています。ユーザーの平均年齢はなんと55歳です。実はこれ、私が6年半前に日本に持ち込んだものです。現在はカーブス・ジャパンが事業をやっていて、4月1日現在で1,127店舗会員数は43万5,000人くらいになりました。福岡にもすでに結構、店舗はあると思います。開始当初は、正直ここまで伸びると思いませんでした。

この写真は普通のフィットネスクラブです。フィットネスやスポーツジムに行かれている方、手を挙げていただけますか。10名くらいなので、1割くらいですね。実は世の中では平均すると、フィットネスジムに行く方は10人に1人もないんです。これは、私が以前行っていたクラブですが、辞めました。ここから見ると、人間ブロイラー工場みたいでしょう。40分もしないで黙々と。やれやれ40分終わって消費カロリーは160kcalとか出ます。風呂入ってシャワー浴びると、目の前に缶ビールの自動販売機があるわけですね。ぐぐっと飲んで、「ああ、うめえ」とかやれば、350mlの缶ビールは140kcal。「おれは一体何をやってるんだろう?という自己嫌悪に陥ります気分がスッキリするという点はいいのですが、減量という面では効果が出にくく、すぐ挫折してしまいます。

ところがカーブスは、こういうふうに円陣を組んで、楽しくやれるんです。筋トレと有酸素運動を交互に30分で完結できるのが特徴です。

れ以外に受ける理由がありまして、「3ノーM」と言います。まず「ノー Men」。男性がいない。運動機器に男性が触ったり使っ汗が付いたのが嫌だとか、男性に見られるのが嫌だとかいう要望に応えています。それから「ノーMake-up」。女性だけだからメイクが要りません。これで時間が節約できます。そして「ノーMirror」鏡がない。自分が運動している姿を鏡で見たくないという人が多いんですね。

そして重要なのは、続けやすいということです。30分ででき自宅のそばにあり、ゆるやかなお友達関係ができるコミュニティーであることです。

施設面では、成果を得るのに不要な物は全部排除して、例えばシャワーはありません。当然、風呂もありません。私が今から8年くらい前に日本で話をした持ちときは、皆さんに「村田さん、面白そうだけど、日本は湿気が多いし、女性は清潔好きだからシャワーくらい要るでしょう」と散々言われました。しかし、答えは、要りません。なくても誰も文句言わない。30分だからです。じわーっと汗が出て終わりなのでそこにシャワーがなくてもいいのです。

一方、シャワーとか水周りがないと投資が少なくて済むメリットがあります。メンテもお金がかからない。大きなジムは立派なお風呂がありますが、おかげで莫大な投資が必要になって、衛生管理メンテにお金がかかる。その逆の発想で行ったんです。それで何も問題ない。

飲食スペースもありません。これ結構重要なんです。なぜかと言うと、飲食スペースがあると、女性はそういう所にたまって、食っちゃべりします。するとグループができます。女性は3人集まると、閥(バツ)ができるんですそうすると、ほかの人から見ると「あの人たちって、いつもああやって集まってさ、何か嫌だよね」みたいな雰囲気ができ、ほかの人が来づらくなる。そのを作らせないために、スペースを置かない。コミュニティビジネスと呼んでるものうした工夫が重要です

カーブスを始めるまでは、日本のフィットネス市場は大体3,000億円でした。しかし、中高年の女性が満足していない部分を徹底的につぶしていったら、「中高年女性にやさしいフィットネス」という新しい市場ができたわけです。健康のためにという意味では普通のスポーツジムと同じ目的ですが、内容は全然違います。カーブスの場合、95%のお客さんが普通のジムに行ったことがない人たちだからです

「不安」や「不満」にこそ事業機会

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文さんが売れなかった商品にこそ、本当は事業のチャンスがあるんじゃないかという趣旨のことをおっしゃっています。POS(販売時点情報管理)システムがありますね。あれで売れ筋をつかんで、コンビニではしょっちゅう商品入れ替えをやっています。ただ、売れた商品は分かるのですけど、売れなかった商品が何で売れなかったかは、あれだけでは分からないんです。私たち私たちはよく「市場が飽和している」と言いますけど、実は市場は飽和していません。市場を見る私たちの頭の中が飽和しているだけです。先入観や思いこみというやつです。

実は、飽和しているように見える市場をよく見ると、必ずそのそばにヒントがある。新しい市場の芽を見つけましょう。それは不」です。「不安」「不満「不便」です。ですから、「不」の発見者になりましょう。言い換えると、事業機会というのは外にあるように見えますが、実は私たちの頭の中にある。私たちの見方が変わると、事業機会が見えてくる。皆さん、シニアビジネスの基本はこの「不」の発見です。「不」を見つけ、それを緻密につぶしていく。オーソドックスですけど、これが一番正しいやり方です。

もう1つの例です。60代以上で仕事をしている世帯は、全世帯のおよそ15%です。それに対して、無職世帯は約7割存在します。この方々の月間消費支出がこれです。勤労者世帯は月に28万8,308円、無職世帯が20万7,302円、さらに無職世帯を2つに分けて、1人暮らし14万5,963円、高齢夫婦無職23万4,555円となります。いずれも、一番割合の大きなところは「食費」です。年を取ると食べることが重要になっていきます

例として都市部のシニアの食に関する「不」は一体何か、をお示しします。これは日本政策金融公庫が食に対して一番重要だと考えるものは何ですか」と尋ね場合の回答です。60代、70代は「健康によい」というのが一番優先順位が高く、20代、30代、40代は「経済性」、つまり安いということの優先順位が高い。じゃあ「どういう不便があるか」と尋ねると、一番多いのは「近所にお店がない」。次に「お米など重いものを運ぶのが大変」。3番目「一人で買い物に行くのが困難」と。これらがシニアの食に関する不便です。

いま東京都内では小売のシニア・シフト大変な勢いで進んでいます。福岡九州地区はどうか分かりませんが、例えば、これはイオンがやっている「まいばすけっと」という新業態の店ですが、店の大きさはコンビニと一緒で、売っているはスーパーのようなものです。特に生鮮食品が多い。つまりスーパーをコンビニサイズにしたものです。一方、「ローソンストア100」というのは、コンビニをスーパーっぽくしているものです。コンビニなのに野菜とか肉とかが非常に多い。「100」は100円です。サンドイッチを普通のコンビニで買うと230円とか240円ですが、ここで買うと100円です。なぜ、そんないのか?サンドイッチが1枚しか入ってないんです。小さくしてるんですね。

ちなみにイオングループ先週末、東京・有楽町の国際フォーラムでシニア向けの大きな展示会をやりまして、大変注目されてました。

これは家族構成です。50代は子供と同居が78.5%です。60代になりますと46%。半分以上が子供と別居しています。そこで何が困るかというと、売られている食材の量が多いことです。買い物した時にパッケージが大きいと食べきれなくて不便です。最近増えているのは卵の4個パックです。1個から買えるのも出てきました。何か昔の八百屋みたいです米の2合パックみたいなも売れます

「都市部に住んでるシニアの方が食に求めるもの」は何か?まず1つ、生鮮品は価格よりも鮮度です。鮮度が良くないと売れません。2つ目、少量で買えること。3つ目、家のそば、住宅地のそばにあること。4つ目、重い物を運んでくれること。例えば、東京大森にあるダイシン百貨店では、重い物は運搬料無料で運んでくれます。そんなことをやって利益出るのかと思うでしょうが、出るんですね。なぜかというと、そういう親切をされるとお年寄りリピーターになるんです。この間見たら、ちり紙、それから和式トイレのふたを売っていました。和式トイレのふたなんて、今の20代の人はまずわからないでしょう。そういうモノが置いてあると、あそこに行けば必要なものがあるんだと思われ、来店されやすくなるんですね。

5つ目に買い物付き添いサービスがあること。これも最近少しずつ増えています。6番目に、男性には、食事の準備が簡単にできる商品も受けています。年取ってから、特に一人暮らしの男性は一番何が嫌かというと、食事の準備です。

現状ではこれら6つの条件を全部完備している店は恐らくありません。みんな何か足りません。でも近い将来、すべてを完備する店が標準になると思います。

「医・食・住」

従来小売業は大型店を郊外にバーンと作って、来店してもらいました。ところが高齢者は今、来づらくなっています。長距離を歩くのがいや、動けない。そこで出てきはネットスーパーです。家にいながら買える。ところが高齢者はまだあまりネットを使わない。一方、買い物バスサービスというのも登場しています。買い物バスが住宅地出向いて顧客を集め、買い物に連れて行ってくれる。これは、時間が拘束されますので、時間が合わない人には使えない。そして今増えているのは、住宅地のそばに小型の店舗を出す。コンビニの跡地なんかが大体ターゲットになっています。

こういう流れを見ていくと、近い将来の小売業は小売の概念を変えていきます。例えばショッピングモールがあって、そのそばに住宅をつくって、病院、介護施設、サービス付き高齢者住宅、場合によっては学校もつくって農園も、みたいな姿ですね。「医・食・住近接コミュニティ」というものができるようになるでしょう。実はもう、そういう動きが出ています。

「医・食・住」。従来は「衣・食・住」でした。これからはやっぱり医療の医」が重要です併せて介護看護です。そこに住んでいる人は、そんな遠くに行かなくても買い物ができ、みんなが24時間巡回介護を受けて安心して暮らせる。すると、そういう所の不動産価値も上がるでしょうね。こんなコミュニティこれから増えてくると思います。

3.さらにシニアの消費を促す別のアプローチ

パート3は「さらにシニアの消費を促す別のアプローチ」というテーマです。ここまでは、限られた所得からどうやって買ってもらうか、あの手この手の話でした。今度は全然違う話です。

なぜ、ストックがこれだけあるのに消費に回りにくいのか。最大の理由は将来不安です。人間は漠然とした不安があると財布が固くなります。不安があるうちは、なかなか財布のひもは緩まないしかし、その財布のひもを緩めるアプローチがいくつかあります。

これは、私たちの大脳を横から切った写真です。外側は灰白質、内側白質2つに分けられます。灰白質は神経細胞の集まりコンピューターにたとえれば、電気信号を発信するCPUです。それに対して、この側は神経線維、つまりチップ同士をつなぐ電気信号を伝達するネットワークです。私たちの脳というのは、無数のチップを無数のネットワークでつないでいるという構造をしています。これがと共にどうなっていくか。これが私どもの東北大学・加齢医学研究所で実際に人間の脳を10年間追っ掛けて計測したデータです。年齢と共に神経細胞の体積は直線的に減ってきます。しかも20歳から減りだす。50歳とか60歳とかではなく、もう20歳を過ぎたら私たちの神経細胞は減っていくんです。

一方、神経線維は、直線的ではないです、少しずつ年と共に増えていきます。ピークが大体60代から70代の間です。それを過ぎると、またちょっと下が。だけど、80代でも20代と同じ程度の量はある。一体これは何を意味してるのか

神経線維増えていくというのは、まだ完璧に証明されたわけではないですが、私たちの直観力とか洞察力とか関係ありそうなんです。もっとやさしい言葉で言うと「年の功」。つまり、計算するスピードは落ちますが、もっと深い知恵の力年と共に増えていくようなのです

3つのEがきっかけ

ジョージ・ワシントン大学の心理学者ジーン・コーエンが、45歳以降になると心理的発達の段階が4段階に分かれると言っています。50代中盤から70代前半にかけてのここを、彼は「解放段階」と呼んでいます。団塊世代はちょうどこの辺り、「解放段階」のど真ん中す。解放段階の特徴は、例えば、何か今までと違うことをやりたくなるという傾向があります。サラリーマンを辞めて沖縄に行ってダイバーになるとかです。女性もずっとパートでレジ打ちをやっていた人がダンスの先生になるとか、こういう変身みたいなものが、ぽつぽつと起こりやすくなるのがこの段階なんです。

なぜ、60代前後に「解放段階」が訪れるかというと、1つは、先ほど申し上げたように、ライフステージが変わります。これがきっかけ心理面の変化が起きやすくなります。もう人生長くないんだから、やりたいことをやろうと、こういう気持ちが強くなる。「インナープッシュ」といわれる、自己解放を促すエネルギーが起きやすくなると言っています。日経新聞の夕刊に重松清さんが連載している小説「ファミレス」で、主人公のだんなさんある日奥さんの机の中を見離婚届けが入っていてショックを受ける、というのがありました。この段階には、そういうことが起きやすいです。

インナープッシュには衝動、欲求、憧れとかいろいろとありますが、こういうものが消費のきっかけになるんです。「解放型消費」と私は呼んでいますこれが起きるきっかけに「3つのE」というのがあります。1つ目「Excited(わくわくする)」、2つ目「Engaged(関与する、当事者になる)」、つまり自分が当事者になる。3「Encouraged(勇気付けられる、元気になる」ということです。

Excited」を具体的に商品化した例です。「いきいき」という雑誌がかつて「ボストン・ワンマンス・ステイ」という旅行商品を作ったんです。あこがれの街で1カ月滞在生活しながら英語を学ぶ旅というわけ飛行機代込みで1人120万高いようですが、告知2週間で、定員30人完売しました。50代、60代の女性を中心に、何かを始めたい、リセットしたい、変わりたい、今だから学びたいという女性が多いと分かっていましたので、それをちょっと後押ししてあげたのです

30人というのはそんなに多くはないですが、1人120万円を個人が出すんですよ。わくわくしたい、年取ってももう一度夢を見たいという方がいらっしゃるからです。こうした商品をどんどん提案していくべきです。私はこういうのを「わくわく消費」と呼んでます。50、60、70になっても、多くの人はわくわくしたいんです。これが1つ目のEです。

2つ目のEはEngaged。クラブツーリズムという旅行会社がありまして、首都圏中心300万世帯、700万人会員がいます。主な会員大体60代、70代のシニア多くのテーマ旅行をやっています。

ここの面白いのは、顧客参加型の活動です。「旅の友」という月刊誌を会員にただで配るのですが、エコースタッフという女性に配ってもらいます。このスタッフは、もともとお客さんです。スタッフになって会報誌を月に回250部配ると、月に大体3円くらいおこづかいがもらえる。実はこれが、郵送するよりもコストが安いんです。かつ、直接配ることで顔を合わせてお話するというリレーションシップ・マネジメント(RM)にもなります。

話題があって楽しいし、おこづかいが貯まる貯まって結局どうするかというと、再度クラブツーリズムの旅行に行くんです。よくできた仕組みです。でも、ご本人たちは非常に楽しいし、満足してます。やっぱり年金だけじゃ心細いですよね。。ちょっと楽しいことをやって、おこづかいをもらえて、また楽しいことができる。こういうことを皆さん求めてます。だから、傍観者ではなくて自分が当事者になると消費が発生する。そういう意味で、私は「当事者消費」と呼んでいます。

それから「Encouraged(勇気付けられる)」の典型例は、さっき「カーブス」です。筋トレと有酸素運動をやって体が元気になると、新しい消費が生まれます。皆さん、運動するために、すっきりさわやかに痩せて、元気になります。そうすると、通っている仲間と一緒に旅行に行くようになります。それから運動着以外の服を買うようになる。痩せたからですね。太っていた人が、痩せたらうれしい。体が元気になって健康になると、消費意欲がわきます。介護コスト・医療コストが下がるだけじゃなくて、消費が増えます。

いまこれを大学で学的に研究しようとしていますが、ビジネスとして実際すでに起きています。私はこれを「元気消費」と呼んでます。人が元気になると、消費が生まれます。皆さんもどんどん元気になるような商品を提供してください。

4.シニア市場はこれからどうなる?

 さて、ようやくパート4「シニア市場はこれからどうなる?」というお話す。日本の総人口が2005年をピークに減少しているのはお分かりだと思います。しかし、高齢者人口は、2040年くらいまであと30年弱まだ増え続けます。高齢者の一人暮らしも増えています。2020年に女性の18.9%、男性の12.4%になります。女性は5人に1人、男性は10人に1人一人暮らし。しかも、都市部が多いですね。

これは、よく出てくる人口ピラミッドですが、2030年になるとなんと50歳以上が54%、半分以上になります。あと20年弱たつと現実化します。現在、高齢者の定義は「65歳以上」ですが、恐らく定義が変わるでしょう。今日ずっとお話している「シニア」なんて言葉も、なくなる可能性もありますね。

ここからが大事です。入院治療を受ける割合を示す入療率」というのがありまして、年代が上がると割合も上がるんですが、大体75歳を過ぎると増加率が増えます。「要介護認定の人口」のグラフも、やはり75歳を過ぎるとカーブが上がっています。「認知症出現率」もやっぱり75歳から。大体5歳おきに倍々になます。だから「後期高齢者」の75歳以上っていうのは、ちゃんと理由があるんです。ちなみに、認知症人口は2010年日本になんと200万人います。要介護状態になってから何が困るかというと、介護期間が長いことです。3年以上かかる場合が58%、つまり6割近くが3年以上かかります。5年以上が40%、10年以上20%です。

もう1度、人口動態のグラフを見ますと、これが2010年の団塊世代。そして2022年あと10年後には、団塊世代の最年長者が75歳になります。皆さん、何が起こるかはもうお分かりですね。あと10年後ですよ。このボリュームゾーンが75歳を過ぎたら、どうなっていくのか。だからこそ、困ったことにならないように、今のうちに準備が必要で、そこに様々な需要が出てくるわけです。

ちなみに、特別養護老人ホーム、老人健康施設、有料老人ホームの数の遷移ですが、2000年以降どんどん増えていますね。有料老人ホームはどうでしょう。昨年で7500か所くらいありましたか、ものすごく増えました。介護業界の方はお分かりですけど、今年4月から、施設介護よりも在宅介護に力をお金出すように介護報酬体系が変わりました。そうしないと介護予算がもたないからです。介護予算の遷移ですが、2000年3.6兆円2009年7.7兆円、今年度予算が9兆円くらいです。国の予算の10分の1が介護保険予算ですから、これはちょっともう無視できないというか、減らさないといけないです。

高齢化の課題先進国

今、お話ししたことをざっとまとめると、こうなります。

まず、人口の半分以上が50歳以上になる2030年、「シニア」という言葉はもうないかもしれない。間違いなく、歳入不足、財源不足が深刻化します。当然、歳出削減しないといけない。だから介護予算と医療予算はもっと抑制に入ります。もう始まっていますが、施設介護ではなくて在宅介護あるいはコミュニティーでの介護に、もっとシフトするでしょう。

そして、治療よりもむしろ予防に重点を置く。最後は、医療・介護費の自己負担割合が当然増えるでしょう。ということは、健康維持あるいは予防の支出が増えます。すでにアメリカはうなっていますね。医者に行くと高くつくので、自分でセルフメディケーションする。これが1つ。

2つ目が「半半遊型」ライフスタイルが増加します。あんまりがむしゃらにやらなければ、お年寄りの場合は、働いているほうが健康維持にはいいんです。家の中で、テレビばかりボーっと見ているより、働いているほうがはるかに健康にもいい半分遊んで半分働く「半動半遊型」ライフスタイルが増えます。

目は「T型消費」スタイル。T型というのは一点豪華主義。団塊世代の方は、総体的には日々の消費は下げるでしょうが、遊びも知っていますから、自分が本当に好きなことにはお金をかけます。だから、一点豪華主義の「T型消費」が増えるでしょう。

こういう動きを見据えた上で、最後にパート5「高齢化する世界と日本企業の取るべき方向性」。今日お集まりの皆さんがどうしたらいいかという話をします。

日本は、世界一の超高齢社会です。日本の高齢化率は2010年で23.1%世界一です。ちなみに、アフリカを除いたほとんどの国が2030年までに国連の定義「高齢化社会」に突入します。高齢化社会というのは、高齢化率が7%を超えた場合です。14%超を「高齢社会」といいます。日本は23%ですから「超高齢社会」。各国の65歳以上の人口を見ると、1950年はこうで、2000年にこうなりました。2050年になるとこうなります。韓国も結構日本に近い高齢化率です。中長期的に見たら、大変なのはやっぱり中国です。すさまじいボリュームになります。ちょっと想像したくないですけど、これを見据えて、じゃあ今何をするかということです。

世界の認知症人口は、2010年ですでに3,650万人もいます。日本が200万人なので日本の17倍くらいです。AARPという団体は、アメリカにある世界最大の高齢者NPOです。50歳以上の会員が3,700万人。ここが一番注目しているのは、日本です。ヨーロッパいろんな所が注目しています。先週、私はシンガポールに行きましたが、アジアも相当、今、日本を見ています。

日本はシニアビジネスの分野で世界のリーダーになれる可能性がかなりあります。日本は、良くもくも高齢化が一番進んでいます。課題が最も早く出てくる。ということは、ビジネスチャンスも早く顕在化します。シニアビジネスは大ざっぱにやるとうまくいきません。きめの細かさが必要です。きめの細かさは、日本企業得意なところです。

今日の話をまとめると、超高齢化時代のシニア市場戦略の基本を整理します。1つ目に、とにかく、いろんな課題がいち早く出ます。そこに目を付けましょう。飽和市場のそばを見ると、必ず何かあります。

2つ目に、自社の強みとか、地域の強みをうまく活用してください。今日はあまりお話できませんでしたが、うまくいっている所は、自分の所の強み、地域の強みを生かしています。冒頭、日経新聞の関口西部支社代表がおっしゃっていましたが、明太子は、原料は北海道で獲れているけれど、加工しているのは九州なので、みんな九州のものだと思っていますね。付加価値をつけるところが有名になるのです。こんな風にどこに強みを見い出すか。

目、きめの細かい対応力で競争力を上げて、その後、これから高齢化する他の地域に水平展開すればいいんです。

ただ、皆さん、やる順番を間違えないように。中国は人口が多く、高齢者も多いですが、所得水準は低く年金もあまりない。今、中国で商売になるのは、都市部の富裕層だけです。それ以外はまだ早い。タイミングを間違えないようにしてください。ご清聴ありがとうございました。

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