月刊シニアビジネスマーケット1月号特集
綜合ユニコムの雑誌、シニアビジネスマーケット1月号特集「有識者に聞く2019年からのシニア・ヘルスケアビジネス」に寄稿しました。
私の2019年以降の展望を述べましたので、以下に全文を掲載します。
最後の中国市場についての予感は、昨年末の北京出張で強い確信に変わりました。中国のアクティブシニア市場開拓の担い手が若者であることを知って、嬉しくなりました。なぜなら、高齢化する社会の未来をつくるのは、若者だからです。
2019年からのシニア・ヘルスケアビジネス展望
戦後2年後の1947年の日本人の平均寿命は男50.06年、女53.96年で「人生50年時代」だった。
しかし、2018年の平均寿命は男80.98年、女87.14年で「人生100年時代」が枕詞になった。平均寿命が延び、100年以上生きる人の数は国が表彰制度を始めた1963年に153人だったのが、2018年9月で6万9,785人になった。
こうした背景から、誰もが「100年生きる可能性がある」ことを認識せざるを得なくなった。現在の高齢者の定義は65歳以上だが、以前は55歳だった。近い将来70歳以上に変わる可能性大だ。合わせて定年も変わるだろう。
すると、従来定年後の余生を考えればよかった50代後半の人は、あと40年生き続ける可能性を前提に人生を再設計しなければならない。もはや昔のように「単に」長く生きればよい時代ではない。これからは「どのようにして齢を重ねるか」が問われる時代だ。
私たち東北大学は2006年からスマート・エイジングという加齢観を提唱している。これは「加齢とは人間の成長である」という考え方だ。
さらに言うと「個人は時間の経過とともに、たとえ高齢期になっても人間として成長でき、より賢くなれること、社会はより賢明で持続的な構造に進化すること」を意味する。
これまで多くの中高年の方にこの考え方を話してきたが、人生100年時代を迎え、ますます求められていることを実感する。
これを企業側から見れば、個人のスマート・エイジングを支援する商品・サービスを開発し提供することが事業機会になる。
私たちはスマート・エイジングの必要条件として、①脳を使う習慣、②運動する習慣、③バランスの取れた栄養習慣、④社会と関わる習慣、の4つを挙げている。
これらの一つ以上を“意図的に”商品・サービスに組込み、それらによって、顧客が「健康で前向きな気持ちでいられる」「いくつになっても成長できる」と実感し、顧客から対価を得るビジネスが成長するだろう。
個人的に注目するテーマ
海外のシニア市場、特に中国が注目だ。中国のシニア市場は従来介護関連が中心だったが、高齢化の進展、所得の向上から都市部を中心にアクティブシニア市場への注目が急速に高まっている。実は中国の人口動態は日本に似ている。異なるのは時間軸で、意識レベルは20年前の日本。だが、スマホ経済は日本よりも進んでおり、日本とは異なる市場進化が予想される。