シニア顧客をファンにする方法|継続購入につながる「心の報酬」のつくり方

シニア顧客をファンにする方法|継続購入につながる「心の報酬」のつくり方

シニア顧客をファンにする方法|継続購入につながる「心の報酬」のつくり方

シニア顧客をファンにする方法|継続購入につながる「心の報酬」のつくり方

「売った・買った」という単純な関係性ではなく、売り手と買い手の双方がより融合的な関係性を構築し、そのなかで「結果としてシニア顧客の消費が促される」ことにつながる切り口を紹介します。シニアが継続して商品やサービスを購入するのは、金銭的な対価だけでなく、「心の報酬」が得られるからです。

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「知縁型商品」で知的新陳代謝を促す

退職後の生活では「知縁」が重要

「知縁」とは「知的好奇心が結ぶ縁」という意味で、2002年に提唱した言葉です。縁(えん)には順番があります。退職後の人生では特に、この4番目の縁「知縁」がますます重要になってきます。

1
血縁

家族・親族の縁。核家族化が進む現代では弱まっている

2
地縁

住んだことのある場所の縁。現役時代は会社と家の往復で薄くなりがち

3
社縁(職縁)

会社・仕事関係の縁。現役時代は最も強いが、退職するとOB会などで次第に薄れていく

4
知縁 ★退職後に最重要

知的好奇心が結ぶ縁。血縁・地縁・社縁が薄れる退職後の人生で、ますます重要になる縁。商品販売・サービス提供に応用できる

テーマ型旅行は知縁型商品の代表

テーマ型旅行は知縁型商品の代表クラブツーリズムのテーマ型旅行は知縁型商品の代表例です。あるテーマを打ち出すと、それに興味を持った人たちが集まります。共通の話題が多く、食事を一緒にすれば盛り上がりやすい。親しさが湧くことで「また一緒に行きたいね」となり、リピーターが増えていきます。

「知縁型店舗」でコト消費からモノ消費へ展開する

知的好奇心の似た者どうしが集まる「知縁型店舗」の最大のポイントは、「受け皿がすぐそばにある」ことです。教室と各ショップが同じフロアの近くにあることで、「鉄は熱いうちに打て」を具現化できます。

カルチャーセンターや書店を知縁の入り口にしてモノ消費につなげる

カルチャーセンターネット上ではアマゾンがすでに「知縁型店舗」を実現していました。「終活」で本を選ぶと、墓の選び方・お寺・葬儀・花・エンディングノートなどの関連した本がリストされます。このような商品提案形態を、実店舗で行う例があります。

イオン葛西店の「GGモール」はその代表例です。カルチャー教室を開催するだけでなく、同じフロアに本・楽器・手芸用品・アクセサリー・ペット関連ショップを併設しています。好きなものどうしが集まって勉強し、情報交換で盛り上がると「こんなものが欲しい」となります。その受け皿となる店が隣にあるから購買に結びつきやすくなるのです。

課題は、知縁の場(この場合カルチャー教室)に多くの母集団がいないと、購買額が大きくならないことです。GGモールという呼び名は現在はなくなり、コト消費型のテナントが多く集まる場になっています。

POINT

楽器好きな人は楽器・楽譜・貸しスタジオ・CDなど関連商品に興味がある。そこに集う人たちが交流できるスペースがあれば、知縁を深める基地にもなる。「ここにしかない」を徹底することで本物感が出る。

商品を売らず「商品体験」を売る

実際に使ってみないとわからない商品ほど、「商品体験」を売るという発想が重要になります。商品体験には「納得感」を高める効果があり、特に高価な商品には強力な納得感が必要です。

商品体験売りの元祖、テンピュール

商品体験スウェーデンのテンピュールはNASAで開発した素材を使用した寝具を、多くのデパートで「体験マーケティング」を行いました。初期の「スペースキャビン」では、ベッドと枕を13分間体験してもらいました。リラクゼーション音楽と癒し効果を強調するミスト噴射の中で体験できるこのキャビンを置いたある百貨店では、テンピュール製品だけで一時期月商2,000万円を超えたことがありました。

13分の体験では完全にはわかりません。しかし「この商品で寝ればよく眠れそう」という気分になることに意味があります。人は理屈だけではモノを買いません。「この商品は良さそう」と納得して初めて購買行動を起こすのです。また、数十万円のベッドは買わなくても、1万5,000円の枕なら買いやすく、気にいったらベッドへとつながります。

ライフスタイルが実感できるパナソニックのショールーム

福岡・薬院のパナソニックのショールームでは、キッチンとダイニングを実際に体験できます。流し台の高さ・シンクの深さ・収納棚の数や高さを自分好みにしたいという女性の願望に応え、「こんな素敵な暮らし方ができます」というイメージを実感できるスペースになっています。

POINT

体験コーナーの課題は、必要な時に専用の係員がいないこと。体験コーナーとするなら、商品説明ができ体験をおすすめできるコーチのような人材を配置すべき。単価の高い商品なら専任の説明員を置いても元は取れるはず。

商品に惚れた顧客に語ってもらう

短時間の体験よりも、実際にその商品を買った人の生の声が最も説得力を持ちます。「買った人の声」を活用する仕組みが、購買意欲を高める強力な武器になります。

同郷の入居者が同郷の見学者に案内する老人ホーム

入居者見学アメリカのウィローバレー(ペンシルバニア州ランカスター)は、冬が寒い田舎にある3,000戸の大規模リタイアメント・コミュニティです。温暖なフロリダやアリゾナに立地するのが通例ですが、ここは健常型も介護型もほぼ満室。その理由は「入居者参加型の営業活動」にあります。フロリダから見学に来た人にはフロリダ出身の入居者が、カリフォルニアから来た人にはカリフォルニア出身者が案内役となります。同郷の人が対応することで親近感が湧き、移住した理由・感想が語られることで納得感が高まります。

商品が好きなセミプロの顧客をコンシェルジュにする

蔦屋書店の代官山店では、公募で選ばれた本好きの人が書籍コンシェルジュとなり、自分の選んだテーマで本を品揃えしたり顧客にアドバイスしたりしています。「京都の観光地に関する本を150冊揃え、日本でここだけ」というオンリーワンの雰囲気を演出。買う人も楽しく、コンシェルジュとして紹介する方も楽しいというダブルの効果があります。

もともとは本好きの消費者だった人が売り子になることで、一段レベルの高い顧客満足を提供できます。本・音楽・映画・旅行など売る側に知的センスが求められる商品は、このような売り方が効果的であり、知縁ネットワークも作りやすくなります。

売れる商品は顧客につくってもらう

確実に顧客に支持される商品は、顧客が自ら商品づくりに参加した商品です。自分が協力した商品は率先して買い、他人にも薦めるようになります。顧客はベストの商品開発パートナーです。

雑誌「いきいき」(現:ハルメク)のおせち料理品評会

おせち料理品評会毎年秋ごろに読者を招いた品評会を開催し、料理の種類や味付けの意見を聞きます。読者の具体的な発言をもとに最終仕様を決定し、雑誌で発表すると早期予約割引もあってたちどころに品切れになります。

品評会に参加した人たちは「自分たちの意見が商品になった」嬉しさと満足感・優越感を感じるため、自分で注文するだけでなく、口コミで他の人に積極的に勧めます。また「おせち友だち」にもなり、交流の輪が広がります。

POINT

クラブツーリズムでは顧客から出されたアイデアを参考に企画を組むことも多かった。自分のアイデアが採用された人は大半がそのツアーに参加し、友人・知人にもアピールする。ただし、これは推薦者の自由意思で行うことに意味がある。謝礼をもらって宣伝協力するのでは意味がない。

シニアに商品を売りたければ「仕事の機会」をつくる

年金以外の副収入を得る機会を提供すれば、可処分所得が増え消費が促されます。シニアの「3K不安(健康・経済・孤独)」解消のベストな方法は、仕事をすることに尽きます。

株式会社 高齢社
60歳以上限定の人材派遣

株式会社 高齢社

ガス検針・工場の継電器安全確認・在庫管理などの業務を技術系出身のベテランが担当。週2〜3回の出勤で月10数万円の副収入が得られます。この副収入はほぼすべてが可処分所得になるため、友人との外食・旅行など生活に余裕をもたらします

株式会社 いろどり
徳島・上勝町の葉っぱビジネス

株式会社 いろどり

高齢者と契約する個人事業主が葉っぱを生産・納品。この仕事が始まる前は酒を飲んでグチを言い合うことが多かった高齢者が、仕事を始めてから皆健康になり、人口2,200人程度の過疎の町で寝たきりが一人もいなくなりました。年収1,000万円以上稼ぐおばあちゃんも

POINT

スーパーに隣接する空き地で顧客が野菜を作りスーパーで販売する、ホームセンターで家庭菜園の収穫物を集荷・販売するなど——企業がシニアに仕事の機会を創造するビジネスモデルは、当事者意識を高め口コミ効果も生む。商品を売ることだけでなく、買う側が「心の報酬」を得られるビジネスのサイクルを考えることが重要。

このテーマのまとめ

  • 退職後の人生では「知縁(知的好奇心が結ぶ縁)」がますます重要になる。テーマ型旅行はその代表例
  • 「受け皿がすぐそばにある」知縁型店舗がコト消費からモノ消費への流れを促す。鉄は熱いうちに打て
  • 「商品体験」を売ることで納得感が高まる。特に高価な商品ほど体験マーケティングが有効。体験コーナーには専任のコーチ人材が必要
  • 買った人の声が最も説得力を持つ。同郷の入居者による案内・セミプロ顧客のコンシェルジュ活用・ユーザーの声の掲載が効果的
  • 顧客に商品づくりに参加してもらうことで、自分が協力した商品を率先して買い、他人にも薦める好循環が生まれる
  • シニアの3K不安(健康・経済・孤独)解消のベストな方法は仕事をすること。企業がシニアに仕事の機会を創造するビジネスモデルがシニアの消費を促す

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