定年になっても働き続けたいが、旧来型の会社組織では働き続けたくない人も増えている。このような人は、あくまで自分のやりたいことを、自分サイズの仕事にして、収入を得るスタイルを維持するミニ企業「ナノコーポ」として働き続ける。このナノコーポの営業を効率的に代行する「ナレッジ・ネットワーカー」としての機能が、新たな事業機会となる。
たとえば、会員制ビジネスクラブ「ル・ティップ」では、会員が互いの営業チャネルを融通することで、営業専任者を置けないナノコーポが外部営業スタッフを持つようなメリットを生み出している。
一方、人材仲介サービス「ハイテクコネクト」では、IT分野の広告・PR専門家に特化した人材を、依頼先の大企業に仲介することで、ナノコーポの営業代行の役割を担っている。
これら営業代行サービスの要は、お互いに関する背景知識が深まる「仕組み」をもっていることにある。人と人との相性については、データベースに登録された表面的なデータにもとづく判断よりも、プロによる直感や推薦の方がよほど機能するのである。
一人の人が一生に出会える人の数は限られている。貴重な出会いの機会に表面的な話に終始せず、自分の問題意識を相手にぶつけることで、相手の懐に入り込む。こういうやりとりが互いの「背景知識」を深めていく。「仕組み」は自分でつくるものだ。