女性がリードするシニアビジネス
 
  2004年6月22日 Vol. 53
村田裕之
 

シニアビジネスをリードする人たちには、
女性が多いことにお気づきでしょうか。
拙著「シニアビジネス」で取り上げた事例でも
主役の多くは女性です。

マザーカフェ・プラスのカルラ・ウインドホーストさん、
ラッセル・ビレッジのポーラ・パンチャックさん、
ビーコンヒル・ビレッジのジュディ・ウィレットさん、
ゴールドバイオリンのコニー・ホルキストさんなど
枚挙にいとまがありません。

女性がシニアビジネスをリードしているのは、
何もアメリカだけではなく、日本でも同じです。

30万部を越えた中高年女性向け雑誌
「いきいき」を発行するユーリーグの片寄斗史子さん、
杉本美樹枝さん、電通シニアプロジェクトの荒木陽子さん、
和田有子さん(「シニアマーケティング」の著者)、
おとなのオピニオンコミュニティ「Ryoma21」を主宰する
松本すみ子さんなど、多くの女性が活躍しています。

松本さんは、オールアバウトジャパンのガイド役をしながら、
「おとなの暮らしと仕事研究所」を設立、
著書「心理系の仕事を見つける本(中経出版)」
まもなく発売1万部に迫るなど、
小柄ながら、 マルチタスクな活動に長けた方です。

なぜ、シニアビジネスのリード役に女性が多いのでしょうか。
私の友人でアメリカのサードエイジ
(ベビーブーマー向け ポータルサイトとして有名)の社長、
シャロン・ホワイトレイさんが、こう話してくれました。

「一般に女性は、家庭全体を面倒見る時間が長く、
年老いた両親の世話など年長者のニーズを
身近に感じる機会が多いのよ。にもかかわらず、
政府は何もしてくれないし、企業のサービスは遅れている。
だから、自分たちで何とかしようと立ち上がるのよ」

確かに、女性は老親の世話だけでなく、
子供の世話、家事、近所付き合いなど、
生活に身近なところで時間を費やす機会が多い。
会社との往復に専念すればよい男性サラリーマンとは
大違いかもしれません。

昨日までのアメリカ滞在中に「Marketing to Women」
(世界12ヶ国語に翻訳されているベストセラー)の著者
マーサ・バレッタさんに会い、興味深い話を聞きました。

以下、彼女の話の要点です。

@ 女性は、家庭において、もともとChief Purchasing Officer
 (日本的にいえば、財布のひもを握っている)である。

A 加えて、近年、女性の社会進出はますます増え、
所得水準も上がっている。
市場における女性の位置づけはますます高まっており、
女性をもっとターゲットにすべき。

B 一方、女性は、男性に比べて 
Holistic (全体包括的)な視点をもっている。

C この視点は、家庭に関わる多くの諸事
(老親の世話、育児、家事、近所付き合い、自分の趣味・仕事など)を
マルチタスクに処理しなければいけないことから体験的に体得されている。

D だから、女性をターゲットとしたマーケティングでは、
従来と異なる全体包括的なアプローチが求められる。


興味深かったのは、
彼女が主張する女性マーケットへのアプローチと、
私が考えているシニアマーケットへのアプローチに
共通点が多いことです。

それは、一言で言えば、
拙著「シニアビジネス」の序章で述べた
全体包括的な「視野の広さ」です。

「そのとおり。男性より女性の方が長生きして、
女性の人数が多くなることを考慮すれば、
彼女が言うことは全く正しいわ。
シニアマーケットは、女性マーケットに近づいていくのよ」

こう語ったのは、エイジング分野のNPOが集積する
キャンパス「Fairhill Center」社長の
ステファニー・フォールクリークさん。
彼女も、6人の子供を持ちながら、
20以上のNPOを束ねるマルチタスク経営者です。

高齢化が進むに連れ、シニアマーケットは
女性マーケットに近づいていく。
だから、女性がシニアビジネスの主役になりやすい、
というのが大きな理由のようです。

とはいえ、割合は少ないものの、
男性もそれなりの数が存在するわけですし、
「シニアマーケットは女性マーケット」と
ステレオタイプに決め付けてしまうのは、
逆に視野狭窄に陥ってしまう危険性があります。

そうならないために何よりも必要なのは、
女性に負けず、男性もどんどん
シニアビジネスのリード役になることです。

ということで、男性の皆さん、がんばりましょう。


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