市場調査はあてにするな - 「デジタル分析」から「アナログ直感」へ

綿密な市場調査をしても
顧客のニーズがつかめない

シニア市場に参入したいという企業担当者から必ず受ける質問の一つは、「シニアが何を必要としているかそのニーズを知りたい」というものだ。そして、その回答を得る手段として彼らが頻繁に行なうのが市場調査である。

市場調査の定番として従来最も活用されてきたのは、紙によるアンケート調査である。しかし、この調査手法は多大な時間と手間を要し、それゆえコストもかかるものだった。これに代わって近年増えてきたのが、インターネットを活用したネットアンケート調査だ。

ネットアンケートでは、紙によるアンケートにかかる時間や手間を大幅に短縮できる。このため、一般企業だけでなく、最近は大手新聞社でも市場調査にネットアンケートを活用する例が増えている。こうした状況を見ていると、ネットアンケートは、より安いコストで市場調査をしたい企業のニーズに応え、すっかり市民権を得ているかのようだ。

ところが、企業の現場では、ネットアンケートの調査結果が、実際に新商品の開発や既存商品の改善にどれだけ役に立っているのか疑問に思っている担当者が意外に多い。調査会社に委託した綿密なアンケート調査に基づき開発した商品が、実際には売れないことが多いからだ。 これは、いったい、どうしてなのか。その大きな理由は、ネットアンケートという手法に構造的な限界があるからである。

革新的なヒット商品のアイデアは
市場調査からは生まれない

「ウォークマン」という商品があります。この商品が、どのようにして生まれてきたのかは有名なエピソードがあります。1976年、当時ソニーの会長だった盛田昭夫氏が、スキー場で聞こえてくる音楽が気に入らず、自分の好きな曲を聴きながらスキーをしたいという発想がもとで、小型携帯型の再生専用テープレコーダーという商品コンセプトを思いつきました。

しかし、ソニーの設計陣にそのコンセプトの商品化を打診すると「そんな商品は小さすぎてつくれない」「たとえつくれても、そんな商品は特殊すぎて売れない」といわれたといいます。しかし、会長という立場にあった盛田氏の粘り強い説得により、失敗した場合の責任をとることを条件に、ついに商品化に踏み切りました。

ところが、販売した途端、爆発的大ヒットとなり、ソニーという企業の名声を一段と高める結果となりました。このエピソードは、私たちに何を語っているのでしょうか。それは革新的なヒット商品のアイデアというのは、市場調査からは生まれないということです。

消費者の潜在的ニーズは
市場調査では明らかにならない

ソニーがウォークマンを商品化する以前に、ウォークマンのようなものを商品化したところがあったでしょうか。ウォークマン以前にウォークマンはなかったのです。しかし、一度ウォークマンという商品が具体的に目の前に出現すると、「こういうのが欲しかった」という人が大勢現れました。

つまり、そうした商品のニーズは、多くの消費者のなかに潜在的には存在していたのですが、そのニーズは消費者の側からは具体的に顕在化することはなかったということです。なぜなら、消費者自身がそうしたニーズの存在に気がついていなかったからです。

したがって、表層的な意識レベルの情報しか把握できないネットアンケートやグループインタビューをいくら綿密に行なっても、革新的なヒット商品のアイデアは生まれてこないのです。

では、こうした市場調査に頼らずに、顧客の潜在ニーズをつかむには、どうすればよいのでしょうか。その手がかりは、実は、顧客に関する「アナログ情報」の活用の仕方にあります。

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