『シルバー産業新聞』
      社会変化が生み出す新事業

 
退職者のための「スターバックス」
 
  2004年8月10号 第5回
村田裕之
 

厚生労働省の報告によれば、老人クラブの会員数は、一九九八年度の八八六万九〇八六人をピークに、二〇〇三年度には八五四万一五四九人にまで減少している。参加資格である六〇歳を過ぎても参加しない人が増えているためだ。

参加しない人は「老人クラブなんて自分の行くところではない」と口をそろえて言う。

現状の高齢者の定義は、六五歳以上ということになっている。だが、最近は六五歳を過ぎても自分を高齢者だと思わない「高年齢者」が増えている。社会保障政策上の必要性から定められた年齢区分に実情がそぐわなくなってきているのだ。

このような事情は、アメリカでも同じだ。日本の老人クラブにあたるシニアセンターは「高齢で弱った人の行くところ」というイメージが強く、利用者が減っている。一方で、退職した人は、何らかの社会的つながりを求め、職場にかわる居場所を得たいと思っている。だが、シニアセンターは自分の行く場所ではないと思っている。

こうした従来と異なる意識をもつ「新しい高齢者」向けにサービスを提供し、人気を博しているのが「マザー・カフェ・プラス」という新業態のカフェ・レストランだ。

(中略)

日本でも団塊世代の最年長者はあと三年で六〇歳、標準的な定年退職の年齢に達する。この世代は、現在の六〇代より、さらに高齢者意識が薄い。職場を離れたこれらの人が、毎日気楽に立ち寄って数時間楽しく過せる場は、今後確実に求められていくだろう。
アメリカの高齢社会で生まれた最先端のサービス業態は、実は日本の近未来のサービスのあり方を映し出す「鏡」なのである。

(本文より抜粋)

 

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