『シルバー産業新聞』
      社会変化が生み出す新事業

 
ケアモデルからソーシャルモデルへ
 
  2004年7月10号 第4回
村田裕之
 

米国で、従来の老人ホームのイメージを大きく変える動きが起きている。それは、「カレッジリンク型」と呼ばれる大学と結びついた老人ホームだ。

その一つが、マサチューセッツ州ニュートン市にある「ラッセル・ビレッジ」。併設する大学、ラッセル・カレッジの敷地内にある。

入居者は、年四五〇時間以上のクラス参加が義務づけられている。にもかかわらず、二〇〇〇年五月の開設と同時に定員二一〇人が満員となり、一四〇人以上が、今も入居待ちという盛況ぶりだ。

(中略)

従来型の老人ホームは、病院から発展した「ケア・モデル」であり、長期的な介護に主眼を置いている。これに対し、カレッジリンク型は、若い世代との社会的交流を促す「ソーシャル・モデル」なのである。

「開所6年前に、この考えを提案したとき、多くの人から『絶対にうまくいくわけがない』と口をそろえて言われました」こう感慨深げに話すのは、ラッセル・ビレッジの施設長ポーラ・パンチャックさんだ。

米国は、日本と市場環境が違うから、何でも容易に実現すると思うのは誤りだ。
老人ホーム運営の厳しい現実の中で、斬新なアイデアを否定するのは、
国を問わずたやすいからだ。

だが、時代の先を読み、果敢に挑戦する先駆者には共通のものがある。
それは、常に顧客に接し、顧客が何を求めているのかを学ぼうとする謙虚な姿勢だ。
豊かな現代に生きるシニアは、単に食べて、介護されて、
寝るだけの生活では満足できない。

人間にとっての最も知的な楽しみ、それは「学び」だ。
カレッジリンク型は、あくまで顧客本位の商品なのである。

(本文より抜粋)

 

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