高層化以外の方法で高効率の事業を実現する。その一つが<開放感>の活用だ
 
  2005年8月号 第23回
村田裕之

クインシー・マーケットのあるドック広場の周辺はかつて海辺であり荷揚場として栄えていたが、その後の埋め立てによりその役目を終え治安の悪い場所と化していた。

その後、一九六四年からの再開発事業によって今ではボストンで最も活気のある場所へと甦った。東海岸で最も賑わっている場所であり、訪れる人の数は、ディズニーランドより多いといわれる。

ここの人気の秘密は、「開放空間」の効果的な活用にある。一つ目が、テナントビル間の歩道の活用。歩道はアスファルトではなく、ボストン・スタイルの石畳とし、ゆっくり散策できるようにデザインされている。また、周辺にはけやきなどの並木が配置され、至る所にベンチや休憩スペースが設けられ、そこで食事を楽しむ人も多い。一方、テナントビル側から見ると、木陰とともに人が往来する姿を見ることができ、ゆったりした気分となる。

二つ目が、テナントビルの両端にある広場の活用。ここでは、大道芸人が得意の芸を披露し、多くの観客を集め、賑わいをかもし出している。こうした広場での光景は、最近日本の池袋などでも見ることができるが、芸をしているのが素人で、見るに耐えないものが多い。だが、クインシー・マーケットで演ずる芸人は、ボストン市の許可を取っているれっきとしたプロである。公共の場である広場でのパフォーマンスには、こうした「品質管理」が大切である。それが場を盛り上げ、集客効果を高めるのである。

(中略)

高層化技術の向上で、都心部に高層ビルが急増している。価格の高い土地を有効利用するためだ。だが、ボストンのような土地の高いところでも「開放感」をうまく活用し、高層化ではない方法で、高効率の事業が実現できている。

また、アメ横のような日本のストリート文化にも、クインシー・マーケットで見られる賑わいの仕組みと共通点が見られる。 こうしたことに日本の開発担当者も、もっと目を向けてよいだろう。「閉塞感」にあふれる日本の都会にこそ、「開放感」を感じさせる場がうけるはずだ。

(本文より抜粋)

 

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