法制度や助成金だけでは不十分。高齢者が能力を発揮する、そんな新業態の整備が必要だ
 
  2005年2月号 第17回
村田裕之

総務庁の調査によると、四〇歳以上の四割以上が少なくとも七〇歳までは働きたいと考えている。

問題は、それなりの収入を得て、働き続けたくても、働く機会が少ないことだ。中高年、特に五〇代後半から六〇代の求職に対する求人の割合は、他の年齢層に比較してきわめて低い。

このような状況を踏まえ、厚生労働省は、六五歳までの雇用継続を企業に義務付けた高齢者雇用安定法を制定した。

だが、年功序列が崩れ、実績主義が叫ばれるなか、リストラ圧力のもと、今の会社で六五歳まで働き続けるより、収入が減っても、組織に縛られずに自分のキャリアを活かして、やりたいことで働き続けたい人が増えている。

実は、同様の動きは、労働人口の流動化が進む米国で、すでに起きている。世界最大の高齢者NPO、AARPによれば、日本の団塊世代にあたるベビーブーマー(一九四六年から六四年生)の八割は六五歳を過ぎても働きたいと考えている。

これらを背景に、旧来型の会社組織ではなく、自分のやりたいことを仕事にして収入を得るミニ企業「ナノコーポ(微細を意味するナノと法人のコーポレーションとの造語)」が五〇代から六〇代に増えている。ナノコーポの定義は「Convergence of worker and company」。つまり「働く人」と「会社」とが一体化すること。社員が一人でも法人形態をとり、個人事業やボランティアとは一線を画す。

旧来型の会社組織ではなく、自分のこれまでのキャリアを活かし、自分のやりたいことを仕事にして、他人に雇われずに、収入を得ながら働き続けるスタイルだ。ナノコーポという言葉には、「あくまで自分サイズの事業規模にこだわり、拡大を目指さない」という意味が込められているという。

(本文より抜粋)

 

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