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いま、60歳でいったん定年退職した後も、再雇用されて働き続ける人が増えている。だが、こうした人たちの多くは、給料が半減し、役職も外され、年下の上司や同僚との心理的葛藤を抱えながら、年金の満額支給開始など、経済的に支障のない時期まで職場で過ごそうとしている。私は、このような状態で本当の離職(リタイア)まで過ごす期間を「リタイア・モラトリアム」と呼んでいる。
(中略)
ところが、リタイア・モラトリアムの出現によって、こうした不連続な断層のようなリタイア・パス(キャリア・パスに対する筆者の造語。離職までの順序・経歴)が、もう少し連続的で穏やかなリタイア・パスへ変わっていく。というのは、リタイア・モラトリアムでは、働き続けながら、自分周辺の同世代の多様なリタイア・パスを横目で眺めつつ、自分のリタイア・パスをいろいろと考えることができるからだ。
(中略)
こう考えると、リタイア・モラトリアムは、年金満額受給までの辛く屈辱的な「忍耐の期間」では決してない。
むしろ、「会社中心生活」から「個人中心生活」に心身ともに切り替えるための「有用な準備期間」として活用できるのである。
(本文より抜粋)
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