旅行産業にみるコンバージェンス型商品化
 
  2004年11月号 第10回
村田裕之
 

旅行産業は、比較的長い間、各業界の住み分けがなされてきた。だが、新幹線や高速道路網などの交通インフラの整備、団体客から個人客へのシフト、ネット革命の進展などを背景にコンバージェンス型商品化が急速に進んだ業界だ。

特に顕著に見られるのは、次の3点である。 (1) 各業界が運営する旅行商品ネットショップが互いに似てくる (2) 各地の土産物、食べ物が互いに似てくる (3) 日本各地の街並み、施設デザインが互いに似てくる 紙面の都合もあり、本稿では、(1)に絞って話を進める。

旅行商品のコンバージェンス商品化は、ネット上での進展が著しいからである。 一昔前まで旅行商品を買う場合、JTBや近畿日本ツーリストなどの旅行代理店が主な窓口だった。また、こうした代理店を通さない場合、電車の切符ならJRや私鉄など各電車の駅、バスなら各営業所、という具合に各々サービス提供者のところで購入する以外に方法がなかった。

ところが、インターネットの普及が本格化した1999年頃から、ネット経由で切符やホテル、レンタカーなどが予約、購入できるサイトが出現し、新しいサービスチャネルになった。だが、このチャネルによる最初のサービス提供者は、既存の旅行代理店ではなく、エクスペディア、旅の窓口、といった異業種からの参入だった。

これらの異業種は、それまでの旅行業界にありがちな「売り手」の論理ではなく、「買い手」である消費者にとっての使い勝手のよさを売りにして、あっという間に販売シェアを伸ばした。当初、従来の大手代理店は、既存の代理店ネットワークとの摩擦を避け、様子見状態だった。だが、この動きを見て追随しはじめた。

さらに、こうした動きが、それまで販売窓口を旅行代理店任せにしていた航空会社、鉄道会社、レンタカー、ホテルなどの業界各社に独自のウェブサイトを立ち上げさせた。これにより、彼らは、直接、消費者からの注文を受けるようになった。

(本文より抜粋)

 

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