少子高齢化時代の小規模小売店(その2)
 
  2004年9月号 第9回
村田裕之
 
ここ数年、大都市圏を中心に、有料老人ホームや軽費老人ホームなどの高齢者施設が急速に増えている(図表1)。

80年代、90年代では、郊外の風光明媚な所に多く建設されたが、近年の都市部志向の強まりを反映し、大半が都市部周辺に建設されている。老人ホームには、1箇所あたり50人から100人程度の入居者がいることから、エリア当たりの顧客密度は極めて高いといえる。

(中略)

ここまでの話をまとめると、高齢者施設と連携する小規模小売店の立地は、次の三段階が考えられる。 (1) 都市部の高齢者施設の密度の高い場所に立地する (2) 高齢者施設内に立地する (3) オープンカフェのあるショッピングモールに立地する (3)は、別の見方をすれば、オープンカフェと小規模小売店と有料老人ホームなどの高齢者施設とを、当初から併設する手法とも言える。

ここで重要なのは、「開放的な雰囲気」の作り方である。有料老人ホームの中にカフェテリアを設ける例は、しばしば見られる。だが、一般にはその利用頻度は低いようである。その最大の理由は、施設内にあることの「閉塞感」にある。健常なうちは、生活の何もかもを施設の中で過ごすよりも、できるだけ外出し、外部との交流があることを望む人が多いからだ。

冒頭述べたように、都市部を中心に、有料老人ホームが怒涛のように増えている。住みなれた自宅に住み続けられるのが理想的だが、在宅介護は、家族への負担が大きい。だが、施設に入りたいと思っても、費用の安い特養(特別養護老人ホーム)は、ほとんど入居が不可能な状況にある。だから、有料老人ホームがその受け皿になっている。

施設に入居する人は、一人暮らしが寂しく、わびしいために、集団生活を選んだ人である。その一方で、集団生活には一人暮しにない煩わしさがあるのも事実である。煩わしさの大半は、施設の構造やマネジメントに起因する「閉塞感」にある。だから、この「閉塞感からの開放」が施設入居者にとっての新たなニーズとなる。 これからの小規模小売店は、この「閉塞感からの開放」の支援役としての機能を担うことで、新たなビジネスチャンスを拓くことができるだろう。

(本文より抜粋)

 

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