CCRCと大きく異なる「ライフ・フルフィリング・コミュニティ」
昨年11月、フロリダ州タンパのそばのリゾート地サラソタに、新しいCCRC「グレンリッジ・パーマー・ランチ」がオープンした。
実はこのグレンリッジは、これまでのCCRCと大きく異なるコンセプトで作られた全米初の「ライフ・フルフィリング・コミュニティ(LFC)」である。
フルフィリング(fulfilling)とは「充実した、充足した」の意味。名詞形のFulfillmentには、「実現、満足感、充足感」という意味がある。したがって、ライフ・フルフィリング・コミュニティ(LFC)には、「充足感のある生活を実現するコミュニティ」という意味合いが込められている。
LFCは、施設やサービスの面で従来型CCRCと何が違うのか。
(中略)
これまでシニア住宅先進国アメリカの動向を探ってきた。
日本の今後はどうなるのだろうか。
現状の日本市場では、前掲の(株)ハーフ・センチュリー・モア
あるいは九電ケアタウンなど、継続ケアがあり、
ラグジュリーな生活支援サービスがある物件が売れ筋となっている。
一方で、新規参入が増え、これまでより大幅に低価格な物件も増え、
二極分化している。
これらは日本の市場環境を反映したダイバージェンスであり、
アメリカでも見られた現象だ。
だが、アメリカで20年以上かかったCCRCの進化は、
日本でははるかに短い時間で起こるだろう。
なぜなら、現代に生きるわれわれは、
過去の歴史を学ぶことができるからである。
日本に求められるのは、パイオニアであるアメリカの事例を学ぶだけでなく、
アメリカで実現できていないことを実現することだ。
たとえば、日本には、アメリカにはない古くからの伝統文化が豊富に存在する。
これらはすべて年長者の頭脳と体の中に深く刻み込まれた
目に見えない智恵である。
このような年長者の智恵を、異なる世代あるいは
異なる国の人々に伝達する場としての機能は、アメリカには存在しない。
かつてアメリカのCCRCは「孤島」、日本の老人ホームは「姥捨て山」だった。
われわれが目指すべきものは、「姥捨て山」を「智恵の泉」へと変革することである。
(本文より抜粋)
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